1997年秋から2000年末にかけて、英国に赴任。 その間に見聞し、感じたことを帰国後に纏めたものです。 些細なことを含め、感じるがままに書き留めました。
(このページを作成してから年月が過ぎ、リンクが切れているところもあります。少しずつ修正します。すみません。)
世の中にはあべこべという面白おかしく、時には深刻になってしまうことがいろいろあります。欧州の西端の島国イギリスに3年と少し生活し、ユーラシア東端の島国日本とは違う多くのことを体験しました。
歴史と文化の違い、気候風土の違い、地理的な要素などが複雑に絡み合ってイギリスはイギリスの日本は日本のやり方、しきたりが出てきます。
イギリスでもロンドンの北西方向に位置するManchesterの衛星都市であるBoltonという町に居を構えておりました。
ここは同じイギリスでもロンドン地区とは歴史が異なり、昔の産業革命時に大いに繁栄した工業地域です。 1830年には世界最初の公共鉄道がManchesterとLiverpool間にでき、スチーブンソンの蒸気機関車ロケット号が走りました。
1800年頃の産業革命当時は、この付近の労働環境と住環境は劣悪で、労働者階級は屋外共同便所、共同井戸ポンプのback-to-backsという背中合わせのハーモニカ長屋風住宅に住み、最低の条件下で生活したことが地方史に書かれています。
文化都市からかけ離れていたのです。
近代では1968年すなわち今から三十数年前にManchester and Liverpoolという歌に「
A city a city may not be so very pretty but to be back a smoke stack can be a welcome sight to see.
」と歌われたように、この付近の都市には煙突が沢山あって黒い煙が立ち昇り、町は煙で霞んでいたとBoltonの古い住人に聞きました。
今は昔の繊維産業およびそれに付随した機械産業は変化を遂げ、近代機械工業やハイテク産業が栄え、商業地域、文化地域として発展しています。
ここManchester地域はロンドンから北西方向に約200マイル、300キロ以上離れており地方色豊かな地域になっています。
ここを中心に経験し感じたことについていくつか紹介しましょう。
1. イギリスの地理
イギリスはグレートブリテン島とアイルランド島からなっており、グレートブリテン島の南にEngland、その西にWalesがあり、北方がScotland、そしてアイルランド島の北がNorthern
Irelandという位置関係です。 全体が平野か丘陵ですが、Scotlandの北とWalesの北が特に山勝ちとなります。 しかし一番高い山でもScotlandの北方Highlandと呼ばれる地域にあるBen
Nevisが1343m、WalesのSnowdonは1085mと低いのです。
総面積は日本の本州ぐらいのところに約5800万人が住みます。 こう考えると人口密度は結構高そうに思えるのですが、そうではない。 日本の場合は国土の30%に1億2400万人が住むのですから、実質的人口密度は大変なものです。 イギリスは山地が少ないので広々としています。
南東の隅近くにLondonが位置しそれは政治、金融、商業の巨大都市です。 大陸に近く昔から戦略的拠点でした。 そしてEngland中央部にあるのが第2番目の主要都市Birmingham(バーミンガム)です。 更にその北方にあるのが第3番目の都市Manchesterです。 都市の大きさではかなわないのですが美しい古都Edinburgh(エジンバラ)がScotlandの東岸にあります。
イギリスには平野や丘陵が多いといいましたが、大昔には多くは森に覆われていたといわれています。 人が伐採してきた結果森は非常に少なくなり、畑や牧場になりました。 昔はロビンフッドが活躍したシャーウッドの森のように、多くの深い森があったのですね。 較べると日本は杉花粉の害はともかくとして森林に恵まれていることが良く分かります。
イギリスにはまたmoor(ムーア)やheath(ヒース)と呼ばれる荒野が目立ちます。 Manchesterの北東方向にあるHowarthはEmily Bronteの小説「Wuthering Heights嵐が丘」の舞台になった荒野Yorkshire moorsにある小さな町です。
ここは木も生えず牧草も育たず、ただheather(ヘザー)などの潅木や雑草の生える荒涼とした丘陵地です。 しかしこのheatherが9月頃花を付けると丘一面は渋い赤紫がかった色になります。 近くで見ると背の低い潅木で、綺麗なピンク色の可憐で小さな花が穂先に鈴なりになってたくさん付いています。
地図を見るとすぐ分かることですがイギリスの位置する緯度は非常に高いため、夏の昼は非常に長く、10時頃まで明るい。 冬はこの逆に3時か4時に暗くなる。 朝の8時頃はまだ暗く車のライトが必要です。
東京の緯度はスペインの南のジブラルタルぐらいのところですから随分と南に位置しています。 日本との時差は8時間です。 経度にして135度の差があります。
2. エスカレータの立ち側
仕事柄、ロンドンのヒースロー国際空港を利用することが、度々ありました。
そこでは多くの日本からの観光客を見かけます。 特に若い女性や老夫婦の団体が目に付きます。 若、中年の日本人男性観光客の少ないのはやはり日本の労働環境が反映していますね。
空港には長い動く歩道があって皆が利用することになります。 日本からの観光客も然りです。 ところが予想していた通り、皆は左側に寄って立っている。 そこを急ぐ人が通り抜ける。 迷惑そうに通り抜けるのです。
そうです。 欧州では右側に立つのが暗黙のルールです。 日本では何故か左なのですね。 そのルールを知らずに異国で日本式を実行している。 この日本のルールは最近定着したものだと思います。 私の英国赴任前の頃は東京駅のエスカレータではみんなてんでに立っていたのですが、驚いたことに今はきちんと左側に整列するのですね。 私の不在中に変わってしまった。 欧州のように右側立ちになれば良かったと思うが、既に遅すぎる。 聞くところによれば、大阪では欧州と同じ右側立ちのようですね。
海外に行った時は注意してください。 郷に入れば郷に従わなければなりません。
3. yes/noの返事
これはみんなが学校で習い、本やテレビからも良く知っている話ですが、実際の場面ではなかなか大変です。
非常に滑稽な場面を経験しました。 否定疑問文の答えでYesとNoが日本語と英語で逆転することは誰もが承知していることですが、実際の場面に出くわすとなかなか難しい。
日本人の仲間と車で出張の折、昼食で高速道路サービスエリアのカフェテリア式レストランに入った時のことです。
皿に盛る品目を指定する時です。 その仲間は「豆は嫌いだからいらない」と給仕に伝えると、その確認に不完全文章で「No beans?」と聞かれたのです。
彼はとっさに「Yes」と答えました。 さあどうなるかです。私はきっと豆を盛るはずだと彼に言いました。 嫌いだと伝えたのにそうかなあと彼は首を傾げた。 しばらくして「No, No beans!!!!!」と彼の声がします。 案の定、豆が盛られたのです。 このように微妙なところで逆になる。
このような話は現地の日本人に付きまとっています。 イギリスの日系会社の現地人はこのような頻発する日本人の癖をわきまえていて、問題に発展することはありませんが、会社の外では要注意です。 笑い話では済まなくなります。
日本語の場合は相手の話す文に対するyes/noであり、英語では話題の対象そのものに対してyes/noです。 言語文化の差ですね。
4. 家の建て方、構造です
日本の民家は土台を作り、柱を立て、屋根を上げ、壁を塗り、あるいははめ込み、完成させて行きます。
イギリスは全く違う。 土台は当然としても、壁がもっとも大切になります。 通常はレンガを組んで分厚い外壁、中の仕切を作ります。 そこに屋根の構造を乗せ瓦を葺きます。 家は壁で支えられているのです。 日本の場合は柱で支えられています。
窓はたいていdouble-glazed glass(ダブルグレーズドガラス)と称する2重ガラスになっていて断熱、遮音構造です。 更に嵌め殺しになっていて、その大きな窓の上に小さな開閉窓のある家が多い。 夏でも暑くないので開放は必要ないのです。 でも裏庭に向かっては掃出し可能な大きなスライド式窓のある家も多い。 これもやはり2重ガラスです。
日本では漸く最近の住宅に使われるようになりました。 また日本ではペアガラスと言うことが分かりました。 英語とはずれていますがこの方が日本人には分かり良いですね。 断熱、遮音効果のほか、内側が結露しないという効果があります。
玄関にはドアがあります。 すべての住宅で内開きになっています。 日本とこれもあべこべですね。
実はこれは理由があり、厳しく規制されているようです。 会社の社屋の場合でもドアの開き方向がとやかく言われます。
基本は人の往来する側にドアを開く構造は禁止です。 衝突事故を防ぐためには当然です。
日本の場合はいい加減で都合のいい方向になっているように思います。 アパートの外開きドアは通路を歩く人がぶつかる可能性があり良くない。
またいやな人が尋ねてきた時、ドアを開けた後、割り込まれると閉められなくなる。 内開きは追い出すように閉めることができます。
イギリスに限らず欧州はドアの長い歴史があるからなのですね。
5. 一般家庭の家
日本では一戸建て、長屋などがあるようにイギリスでは一般市民の住居は5種類に分類されます。
Detached、Semi-detached、Terrace、BungalowそれにFlatです。 Detachedとは辞書を見れば分かりますが分離したという意味で、いわゆる一戸建てのことです。 イギリスに特徴的なのはSemi-detachedでこれは半一戸建てです。 これは2戸のDetachedをくっ付けた構造で、正面から見ると左右対称で右と左が別所帯になります。
Terraceはいわゆる長屋造りで2階建てです。 Bungalowは平屋の一戸建てを指します。 家はどれもレンガか石造りです。
以上の形式で最も一般的なのはSemi-detachedでDetachedより安く、独立的なところを狙ったものです。 仕切の壁が厚いレンガなどのため隣家の物音が耳に着くことはありません。
Flatはいわゆるアパートやマンションに当たるもので、都市中心近くにある高層アパートは低所得者層向けです。 屋根付きの低層Flatはなかなか高級で家賃はSemi-detachedより高いかもしれません。
6. 住居の価値
イギリス人は単に新しい家よりも古い家を好みます。 例えば石造りのコテージ風の家が大好きです。 ただ古いのではなくてきちんと水回り、電気、ガスなど整備されていることが肝腎です。
中は雰囲気も暖かく住み心地がよくなるように手を加えるのです。
家は手入れさえすれば何百年と使用に耐えるわけで、日本のscrap and buildの文化とは異なるものです。
7. 家の床
家の床はどこの家も絨緞敷きです。 台所を除いて廊下もどこもかしこも隙間なく絨緞敷き、風呂場もそこに一緒にあるトイレもです。 玄関のドアを開けた途端に絨緞です。 靴の泥を拭うマットは外から入った途端の絨緞の上に置きます。
このように絨緞だらけで日本の家と全く違います。
このせいかどうか不明ですが、家具の上の埃は日本家屋と較べて少ないのです。 絨緞は埃を出さないか、舞い上げない利点があるように思います。
8. 車庫
Semi-detachedとDetachedの家では車庫が通常は玄関ドアに並んで設けられています。 車庫のドアは上下開閉式のシャッターです。 更に車庫の奥にドアがあって台所付近に繋がっている家が多い。 面白いことに私の住んでいたBoltonの町では車をまともに車庫に入れている家は少数派ではないかと思われます。 車は路上か、車庫前のスペースに駐車しているのです。 では車庫は何に使うのでしょうか。 実は物置に使うのです。 様々なガラクタなどが置いてあります。 私が引っ越そうとした家の場合は、車庫を日曜大工などの作業場にしていたので立ち退き整理が大変のようでした。
9. 防犯装置
家には必ずといっていいほど防犯アラームを設置しています。 これは赤外線センサを部屋の要所に仕掛けて泥棒が入ったときはけたたましい音を発する装置です。 外出時にセットします。 セットして1分以内に外に出てドアを閉めること、帰宅時には同じくドアを開けて1分以内に解除する必要があります。 遅れるとけたたましい音を発することになります。 この装置(burgler alarm)は警察に繋がっているわけではなく単に音を発して泥棒を撃退させるものです。 しかしこれが誤動作することがあるのですね。 たまにけたたましい音を出したままの家を見かけました。 それとも本当に泥棒が入ったのでしょうか。
もう一つは日本でセンサライトという名の商品がありますが、あれを玄関や脇の通路に仕掛けている家が多くあります。 私は引っ越して計3軒の家に住みましたが全てこのライトがありました。 泥棒は明るくて入りづらくなるのでしょう。 自分用にもなかなかいいものです。 でもこれも誤動作するようで、私の家では風の強い日には点いたり消えたりしました。
10. 表札
イギリスの家には表札というものは全くありません。 代りに住居の番地ナンバーがドアに表示してあります。 プライベート情報を人目にさらさない伝統がここにも見られます。 イギリスは変わっていますね。 ドイツでは日本と同様に表札がありました。
では郵便物はどうなのかというと、住所に配達されるのです。 居住者の名前には無頓着です。 例えば私の住んでいた家は
63 Limefield Road, Smithills, Bolton BL1 6LA
でした。 ドアには63と表示されていました。 居住者が替わっても関係なく住所宛てに配達されます。 従って転居時は有料の「redirection service」という転送サービスを郵便局にしてもらわねばなりません。
このイギリス式システムはこれでちゃんと機能していると思いました。
11. 暖房機と給湯関係のトラブル
イギリスでは暖房を一年中スイッチを入れたままにするのが普通です。 ガスのボイラーは家の中とかガレージ内に置きます。 壁はレンガの耐火構造なので屋外に出す必要がない。 このボイラーから各部屋のラジエータに配管され、また風呂のお湯としても使われる。 これが故障することが多くて大変です。
呼べば来てくれるものの、これまた予定通りになかなか来ない。 すっぽかされることもあります。 来ればきちんと直して行くのですが、要するに忙しいのです。 すなわち不具合が多いということです。 二人目が風呂に入る場合、途中でお湯が水になることがある。 震えてしまいます。 これは貯湯能力から来るので調整には限度があるようです。 古い設備では特に問題のようです。 とにかくトラブルに泣かされます。
12. 傘
雨が降れば傘をさすのは自然な行為ですね。 ところが英国ではそうではない。 英国人は傘を持ち歩く習慣がほとんどないと思います。 いや英国紳士は傘を手に持ってと反論する人がいるに違いないのですが、多分あれは昔はやったファッションなのでしょうね。 今あのような紳士を見かけることはなくなりました。
イギリス人は雨の中を傘なしで歩きます。 走ることはしない。 土砂降りの時は雨宿りでもするのだと思います。 日本の習慣の方がいいと思うのですが、イギリス滞在中は私も傘は持ち歩きませんでした。
一言付け加えると、イギリスでは特に冬の半年間は雨が非常に多いのです。 Manchesterはイギリス内でも特に雨の多い地域です。 それでも傘なしです。 これでは日本の超小型ハイテク折畳み傘をもってしてもイギリス人は買いそうもありません。
13. イギリスの冬
10月には入るともう寒くなり、3月末までこの状態が続きます。 前に述べたようにこの期間はいつも雨勝ちになります。 Manchester付近は特に雨が多い。 緯度は樺太の北と同じで高緯度ですが、雪が積もることは多くはありません。 真冬の気温は一日を通して大体0度から5度付近にあります。 従って道が凍ることは少なく車の走行は不自由しません。 高緯度でも比較的気温が高いのは暖かいメキシコ湾流が流れてきているからです。
しかしそれでも一冬に数回は雪が積もり混乱します。 しかし普通は翌日には溶けてしまうので、関東の雪と似たところがあります。
このように冬は日が短く天気が悪く気の滅入る季節です。 人によっては精神的にも落ち込むかも知れません。 向こうに住むと関東の冬が羨ましくなりますが、これもまたイギリスの特徴と思えばこれを楽しむ気持ちになります。
14. 自然災害
イギリスは総じて自然災害の少ない国です。 地震や台風がない。 崖崩れも聞かない。
しかし雨が降ると一般に土地に傾斜が少ないため洪水になる地域があります。 それも堤防が決壊して勢いよく洪水になるのではなくて、道路の水位が増して洪水になるという具合です。
12月、1月にはgaleと呼ばれる強風が吹くけれども、これが災害に結びつくことはないようです。
15. 貯水池
イギリスには大きい川が少ないせいか、方々にreservoirと呼ばれる貯水池があって水道の水源にされます。 遊水池としての役割もあるかもしれません。
魚釣りができそうですが、お目にかかりませんでした。
16. 家庭の明かり
イギリスの家庭の明かりの基本は昔ながらの電球です。 部屋によっては電気スタンドがいくつか置いてあるだけで非常に暗い。 これが標準です。 日本のように明るい蛍光灯の照明はくつろぐ部屋には皆無です。 台所にたまに蛍光灯照明がある程度です。 ドイツの場合も同じです。
向こうのホテルの部屋は家庭の部屋の延長線上にあります。 従ってホテルの部屋を思えば理解できます。
イギリス人やドイツ人の目の感度は日本人よりいいのでしょうね。 きっとそうだと思います。
もっとも会社の事務所は蛍光灯や新型照明で明るい環境になっています。
17. 電球
イギリス人は蛍光灯嫌いですから、電球が多く使われます。 これがまた頻繁に切れるのですね。 特にスイッチを入れた瞬間に切れることが多くてピンと音を立てて切れます。
従って電球はスーパーなどにも多く並んでいます。 おまけに非常に安いので切れても気になりません。
よく切れる理由は240Vの電圧が原因かもしれない。 簡単に計算しても100V時に較べて同一明るさ、同一フィラメント材料を使った場合には、フィラメント太さを日本の1/2.4にする必要があるし、フィラメント長さで行なう場合は、2.42 = 5.76倍にする必要があります。 これでは寿命が短くなりそうですね。
18. 手紙の差出人
日本では常識として、必ず差出人の住所と氏名を書きます。 しかしイギリスにはその習慣がありません。 相手の住所、氏名を書くのみです。 また葉書を書く習慣もありません。
賢明な方は気づいたかもしれませんが、個人情報を第三者には悟らせないのです。 家族でもそうだということになります。 彼女からのラブレターでも親には知られることはありません。
このためには確実に配達される必要があります。 イギリスの番地付けは分かりやすく、ポストコードといって郵便番号が徹底されているので、確実に届くといわれています。 私の住んでいた家のポストコードはBL1 6LAでした。 BL1がBolton市内の地区、6LAは住所の最小区域を表しています。
従って英国から手紙が来て、差出人不明でも驚かないで下さい。
某県某市ではガス代銀行引き落とし依頼用葉書に自分の銀行口座情報を書いて出すようになっていたのは信じられないことです。 個人の秘密情報が丸見えではないですか。 日本ではこの程度の認識であり、イギリスとは両極端をなすものです。
19. スーパーでの買い物風景
籠あるいは車、英国ではCart(カート)ではなくTrolley(トロリー)といわれる手押し車に買い物を入れるのは日本と同じです。
レジではトロリー内の品物をコンベアに乗せます。 自分の買い物を乗せ終わったら最後に自分で仕切棒を起きます。 これが次のお客との境界になります。 係りの店員は腰掛けた状態でコンベアを進ませて次々と品物をコンベア上から取りバーコードリーダで読み取り横の傾斜した台に載せていきます。 そこで買い物客は次々と袋に入れます。 店員が入れてくれる場合もたまにあります。 そうこうする内に計算が完了し支払いになります。 通常はDebit CardかCredit Cardで支払います。 日本と違ってサインを良く見比べます。
現金買いは若者かリタイアした年寄りです。 なかなかCardを持てないからです。
レジの店員はCash back? と聞いてきます。 Yes, 20ポンドプリーズと言えば、20ポンドを渡してくれます。 これはDebit Cardで20ポンドの現金を引き出したことになります。 手持ちの現金が不足のとき利用します。 便利なシステムです。
買い物袋はまたTrolleyに入れて車まで行き、トランクに入れます。 Trolleyは近くの置き場に戻すのです。
日本よりはるかにキャッシュレス化が進んでいるし、車との融合が図られています。
日本では客に失礼と思ってかサインの比較をあから様にはしないようですが、困ったことと思います。
20. 公衆トイレ
用を済ますと手を洗うのは、日本もイギリスも同じです。 日本ではハンカチで手を拭きます。 イギリスはハンカチで鼻をかみます。 手を洗った後はイギリスではどうするのでしょうか。
イギリスでは公衆便所や会社内の便所には必ず温風式の手の乾燥機が複数台用意されています。 非常に強力なタイプです。 ない場合は紙が必ずあります。
文化の差を感じます。 日本はいろいろな場面で各種公共インフラの貧困を感じます。
なお家庭ではどうするのかは確認せずじまいでした。
またイギリスの公共トイレに入るには必ずドアを2回開けなければなりません。 これは法規制されているのです。
21. ハンドル周りのレイアウト
イギリスは日本と同じで車は左側通行ですから、車の構造は日本と同じはずです。 しかし不思議なことに、英国車のハンドル周りは左ハンドル車と同じレイアウトです。
きっと大陸あるいはアメリカとイギリス間で人の行き来が多いため英国車は譲歩したのではと推察されます。
運転時は左手の占拠率が高く、英国車のレイアウトは人間工学的に拙いと感じます。
ついでに言います。 英国車のJaguarやRover Miniが日本に輸入されて街を走っています。
本来右ハンドル車のこれらの車に左ハンドル車の割合が何と多いことか。 何を考えているのかと呆れます。
イギリスには欧州大陸から非常に多くの車が輸入されていますが、ことごとく右ハンドル仕様です。 Porscheでさえもそうです。 アメ車など一部微少量の輸入車のみが左ハンドルです。 日本とは好対照ですね。
22. 車の止め方
駐車場に車をとめる時、あなたはどのような方向でとめますか。 きっとバックでとめることでしょう。 これは日本では習慣になっています。
確かにより狭いスペースに駐車できるメリットがあります。 しかし買い物をして荷物をトランクに入れようとした時、苦労することになります。
イギリスでは通常前から入れます。 トランクに物を入れ易くするためなのです。 習慣の違いです。
23. ガソリンの給油
日本にもようやくセルフのスタンドが現れました。 しかしまだまだ少ないですね。 イギリスでの事情を紹介しましょう。
最初に用語です。 イギリスではガソリンをpetrolといい、ガソリンスタンドをpetrol stationと言います。 petr-は石の意味です。
イギリスでは給油は多分100%セルフです。 私の行動範囲で一度も日本式に出会いませんでした。
とにかく車を給油口の所に止めてエンジンを切ります。 給油ホースは通常3種類あって、レギュラー、ハイオク、ジーゼルが緑、赤、黒と色分けされています。 3種類なければならないのは当たり前ですね。 自分でタンクの蓋を開けて給油ホースの先を差込み、レバーを握ればガソリンが出てきて、満タンの所で自動的に止まります。 給油メーターには給油量と金額が表示されます。 ホースを元に戻します。 その時、データはレジに電送されます。 ドアを閉めロックして料金を払うのですが、この支払う場所は日本のコンビニとそっくりです。 給油ポンプのナンバーを言って支払います。
実はガソリンスタンドは日本のコンビニの役をしているのですね。 品物はいろいろとそろっています。
店員はレジに通常一人か二人です。 これでガソリンスタンド兼コンビニもどきを運営しているのです。 日本のガソリンスタンドは高コストになっているのが良く分かります。
最近はドライブスルーのガソリンスタンドが出てきました。 これは支払いは車の中からであり、楽なシステムです。
ガソリンスタンドの経営は専ら精製業者の系統になっているのが日本の場合です。 イギリスではBP、Shell、Essoなどもちろんあるのですがスーパーマーケットの経営になっているのが驚くほど多い。 例えばASDAというスーパーに隣接してASDAの給油所があるという具合です。 一種のprivate brandですね。
24. 高速道路事情
イギリスの高速道路は無料です。 これは実にいい。 気兼ねなく遠出ができます。
なおイギリスではMotorwayといいます。
無料であることは個人的にだけでなく、産業上のメリットが大きいと思います。 会社の立地条件がフレキシブルになります。 製品の輸送や従業員の通勤に貢献します。 また日本ではInterchangeというJunctionは料金所は不要だから頻繁にあり便利になっている。
また幹線Motorwayの基本は片側3車線であり余裕を持った走行が出来、メンテナンス工事中も渋滞を最小に出来る。 要所は4車線以上になります。
制限速度は時速70マイルすなわち時速112kmです。 車は大体時速80マイル約時速130kmぐらいで走っています。
日本より少し速めというところです。
車のサイズは平均して日本より一回り小さいけれども元気良く走っている。
日本の幹線道路の御殿場西側の東名は片側2車線であり、混雑し危険さえ感じます。 国家に当時は百年の計がなかったことの証左です。 今になっての拡張や第2東名云々は本当に大変なことです。 将来の拡張を見込んで買収しておくべきでした。
なお有名なドイツのAutobahnはイギリスよりも更に進んでいます。
付け加えるとイギリスでは片側2車線で高速道路と同一速度規制の準高速道路とでもいうべき道路、これはdual carriage wayというのですが、これが方々にあります。 junctionや路肩(hard shoulder)などの規格が高速道路よりも緩いものです。 これも含めると高速道路の総延長は非常に長いものになります。
イギリスはひところ衰退した国と言われましたがとんでもない。 各種インフラの整備は日本を遥かに凌いでいると感じます。
25. 高速道路の出口
イギリスの高速道路の出口(junction)に近づくと300ヤード手前から100ヤードごとに「V、U、T、はい次は出口」となるようにローマ数字を寝かせたような補助標識(countdown marker)が道路の左脇に設けられています。 親切な案内です。 なお100ヤードは約90mです。
日本の高速道路では500m手前に出口の標識はあるものの、出口の標識と共に突然出口になります。 トラックの真後ろを走ると行き過ぎそうになりませんか。
またイギリスには各junctionには番号が振ってあって分かりやすい。 標識にも番号と行き先地名、道路番号が明示されています。
例えば「M61のjunction 6を出て…」となる。 意味は「高速道路61号線の第6分岐を出て…」ということです。 日本の高速道路の出口にも番号はあるのですが、普通は「東名の☆津インターを出て…」というような言い方になりますね。 なお☆津の出口は8番と確認しました。
なぜイギリスでは番号でいうか推測できます。 例えばM61のBolton市のjunctionは3箇所あります。 西Bolton、中央Bolton、東Boltonという言い方もできますが、煩わしいために簡単に番号でいう言い方が定着したのだと思います。
26. 高速道路の走行ルール
低速車線にいて追い越す時は高速車線側からが原則です。 特にドイツでは厳しく、例えば最高速車線にいる車の後ろに追いついて来た車は、絶対に低速側から追い越さない。 相手が低速側へ道を譲るのが通常ですが、なかなか移らない時は、後ろから追い越し側のウインカーを点けて退くように促します。
イギリスはドイツほど四角四面ではないと思います。 それにしても日本の高速道路は凄まじいですね。 真中の車線を走っていると、右と左の両方から同時に追い越される。 ルールを守ることに執心するドイツ人だったらきっと怒り出しますね。
27. 高速道路への進入
高速道路への入り方に日本と大きな差があります。 東名でもどこの高速道路でも進入路から本線に入る時、ほとんどの車はゆっくりと入って行きます。 低速車線の車はそれを見て速度を緩めるなりして入れるようにします。
イギリスの場合は違います。 逆にほとんどの車は全開に近い加速をしながら入ります。 走行スピードを本線に合わせるためです。 走行車線の車は進入車をみてレーン変更をします。 しかし混んでいる時は速度を調節して譲ることになります。 このように違いがありますが、日本でイギリスのように全開加速で入ろうとすると、一緒に進入しようとする前の車に追いついてしまい衝突することになるわけで歯がゆくなりますね。
28. 道路の照明
イギリスの街灯は独特でほとんどがナトリウム灯です。 従って夜の町は黄色になります。 このような町の街灯は一般の郊外道路にも適用されています。
さらに高速道路の照明もこれです。 もっともこの場合はポールも高く照明も非常に明るいものです。 主要幹線高速道路はずっとこの黄色い照明がありますが、交通量の少ない田舎高速道路は町から遠のくと真っ暗になります。 突然暗い道路に入ると、いかに照明された道路が運転しやすいか良く分かります。
29. 有料道路
イギリス内を随分と走ったのですが有料道路には出会わず終いでした。 代りに有料トンネルがありました。 テムズ川の川底トンネルと、もう一つはリバプールから対岸の町バークンヘッドへ抜けるマージー川の川底トンネルです。 いずれも籠に確か1ポンドでしたかを放り込むだけです。 無人の簡単なシステムです。
30. 道路での合図
パッシングライトは結構使います。 常に「どうぞ」という意味です。 日本では中途半端で時には「この野郎」の意味があるようです。
もう一つは例えばレーンの変更で割り込む場合、その方向にウィンカーを出して入ります。
入った後ウィンカーを戻す時、逆側に一回点けるのです。 このやり方を時々見かけました。 日本ではハザードを何回かつけます。 良いやり方だと思うが面倒です。 イギリス式を試して見てください。 簡単にできます。 後続車もオヤッと思うでしょう。
31. 道路の標識
日本とは違って高速道路は青地に白字、一般道は緑地に黄色字または白地に黒字です。 高速道路の標識は巨大です。 日本のものの何倍もある。
junctionの標識にはその方向の地名と何号線と出ていますが、更にそちらに行くと何号線に通じるという表現もあり、それは括弧の中に入っています。
高速道路の分岐前では道路を横断するgantryと呼ばれる門状の桁に取りつけられた巨大標識に必ずレーンの頭上に対応する矢印と共に案内が書かれていて迷わなくなっている。
日本の高速道路にも多少この種の案内が見られるようになったとはいうものの、レーンの案内はまだまだ不充分ですね。 東名から東京を抜けて常磐道の水戸市方面へ行く時は分かりづらくて苦労しました。 特に首都高の分岐案内は良くない。 どの車線に乗っていればいいのか判断しづらい書き方です。 車線変更する必要がないのに変更しなければと焦ってしまいました。 また英語の標記がお粗末なので海外からの出張者の運転は不可能に近いでしょうね。
32. 名所旧跡など観光施設への案内標識。
茶地に白字の標識がその案内看板が標準になっています。 これを追いかけていくとそこに到達できるようになっています。 旅行者にはとても便利になっています。
日本では最近は白地に青字で書かれた標識が目に付きますね。 またイギリスと同じ配色の案内標識も見つけました。
33. サービスエリア
日本と同様サービスエリアは点々とあります。
中の構成はほぼ決まっていて、コンビニのような店、簡単なレストラン、ハンバーガー屋さん、カフェテリア式の店、そして必ず小さなゲームセンターがある。 トイレは当然として、通路の壁際にはキャシュディスペンサも必ずあります。 外にはガソリンスタンドです。 大きなサービスエリアには安いホテルのあるところもあります。
日本では有料道路であり、料金を誤魔化そうと昔悪さをした人が出たということで、上下線の往来はできなくしていますが、イギリスではつながっているところが多くあります。
大型トラックと乗用車の駐車場は別になるように分けられている。 また駐車場から高速道路に戻る時の案内道路は明確になっている。 日本の場合は駐車場から好きなコースを通れるので車が同時に何台も出口に向かう場合は注意しないとぶつかります。
34. 高速道路のメンテナンス
頻繁にメンテナンス作業が行なわれているのでまたかとうんざりするほどです。
作業開始前に作業車は走りながら赤い三角形のコーンを狭い間隔で並べて行き、ずっと手前から車線を減らすための誘導をします。 非常に多くのコーンを並べます。 境界はすべてコーンですから場合によっては100個を遥かに越えていると思います。 数百個あるかもしれません。
そして青地に白い矢印が斜め下に向いた丸い標識を路上に置いて車線変更を誘導します。
どこでもやり方が同じです。 一般道でも規模は違うが同じやり方です。 法律で標識を含めてやり方が規制されいるのでしょう。 突然、道路工事現場になって急徐行とはなりません。
35. 自転車と車の関係
イギリスには日本で最も多い俗に言うママチャリはありません。 すべてスポーツタイプといっても良く、通勤に使う場合にも本格的ないでたちで乗っています。
この自転車は車と同じように走るのですね。 オートバイと同じというべきかもしれません。
信号待ちの時も車と一緒です。 驚きです。
36. タクシー
地方都市では流しのタクシーはありません。 日本の地方都市と同じです。 地方でもロンドンタクシーと同じタイプも走っています。 最近は新型も走っています。 これには後ろの席に向かい合って座るのです。 乗り心地は悪いが中は広く、大きい荷物も一緒に入れられるので便利ではあります。 運転手と後ろの客席の間には仕切があって小さなガラスの戸があります。 強盗除けではなく、客席の声が聞こえないようにするための仕切りだということです。 支払いは中でではなく外に出て、助手席の窓から行ないます。
Manchester飛行場から度々利用したのですがメーターはなく目的地の町までいくらという表があってそれに従って支払いました。 愛想の悪い運ちゃんにはお目にかからなかった。
37. バス
私の住んでいたBoltonでもロンドンで見る2階建てバスが走っています。 2階席の1番前に乗って町を走ると、目線が非常に高いのでいつもとは違う景色になります。 乗るならこの席が1番です。
38. 小形トラック
イギリスには荷台のある小形のトラックという運搬手段はほとんど見ることができません。 どうやっているのか観察しました。 ガラス屋や水道屋、などの何々屋さんはバンを使っています。 窓なしの車両で小形から結構大きいタイプまであります。 もともと窓のあるタイプではガラス部分は鉄板になっている。 この窓なしタイプをVANと定義付けしています。 雨が多いからなるほどとうなづけます。 日本でもこの形にすればと思います。 新市場が開けるのではと思ってみたりします。
39. 大型トラックの特徴
大型の貨物輸送用トラックの99%以上はトレーラタイプです。 日本で一般的な荷台一体のタイプは見かけません。 これはきっと日本の狭い道路事情によるものと思います。
このトレーラーが高速道路を列をなして走る様は壮観でさえあります。
この他、ダンプトラックは日本と同じでたまにお目にかかります。
40. 罰金の支払い
イギリスでは通常スピード違反取締りはspeed cameraといわれる道路ぎわのカメラで行なわれます。 日本と違ってカメラは車の後方から写します。
罰金の知らせは手紙で来ます。
あなたは何月何日何時何分どこそこで、30マイル/時制限のところを42マイル/時で走行しました。 認めますか。 認めれば40ポンドのfine(罰金)を支払うこと。 異議のある場合は云々ということになります。 他人に車を貸したときはこの異議のある場合にあたります。
涙を飲みつつ、40ポンドの小切手と免許証を同封してDVLAという警察の外郭団体に郵送します。 後日3点減点の記載と共に免許証が戻ってきます。 その期間免許証はないが不自由しません。 日本と違い携帯義務がないからです。 しかしこの間はレンタカーを借りることは出来ませんね。
ちなみに40ポンドは今の相場で7200円になります。
41. Roundabout
日本語ではロータリー、英語ではラウンダバウトと呼ばれるイギリス特有のシステムがあります。
多くの交差点にこれが採用されています。 原則的には信号がない分、流れがスムーズになります。 リング状のラウンダバウトに道路がつながっている構造です。 中では時計回りの一方通行です。 中に入った車は好きな出口から出れば良く、中で何回回っても構わない。 ラウンダバウトに入る時は右から来る車優先のルールです。 従って右からの車の途切れを見計らって入ります。 なれると信号不要のいいやり方です。
しかし交通量が非常に多いところは信号機との組み合わせになっています。 というのは混み合うとラウンダバウトになかなか入れない道路が出るためです。
日本ではその歴史もなくリング部分の土地の確保も難しく適用は難しいでしょう。
なお高速道路と一般道路のJunctionにもこのやり方が適用されています。
42. フォグランプ
英国車に特有なランプにRear fog lampがあります。 これはブレーキランプが常時点灯しているような具合に輝く赤色ランプを後部に点灯するのです。 1灯でも2灯でも良いようです。
これは霧の日や、土砂降りの日などに点灯させ、後続車に存在を示すもので英国独特のもので法規制されています。
そのほか普通の日にフロントのフォッグランプをヘッドランプと同時点灯すると、交通違反になります。 この点は日本とは違っています。
最近、東名高速道路を走っていると、尾灯を明るく光らせている不届きな車をたまに見かけるようになりました。 非常にまぶしい。 輸入車には付いているのでしょうか。 また国産車にもオプションなどで付くのでしょうか。 Rear fog lampの何たるかを知らずに面白半分で点灯している。 イギリスでは罰金です。
43. タバコのぽい捨て
日本では車の窓からタバコをぽい捨てする輩が目に付き困ったものと思っていました。 実はイギリスの方がもっとひどいのが真実です。 イギリス人のモラル意識はこの程度なのかと思い直しました。
44. 交通標識
イギリスではSTOPの標識は見かけませんでした。 代わりに「GIVE WAY」と書かれた標識が数多くあります。
意味する通り「交差する道路は優先道路だから譲りなさい」ということです。 停止義務はありません。
日本の場合は車が来なくてもとにかく停止しないと捕まりますね。 日本の非合理性にくらべてイギリスでは納得の出来る合理性があります。
アイルランドに行くと言葉が変わりYIELDと書かれています。 アメリカもそうだったと記憶しています。
45. 緑のおばさん
登下校時には日本でいう緑のおばさんが学校前の横断歩道に立ちます。 手には熊手ほどもある大きなうちわ状でSTOPと書かれた道具を持ち車を止めます。 車はおとなしく従います。
46. 歩行者と車の関係
よく言われているようにイギリス人は赤でも横断歩道を渡るというのは事実です。 もっとも渡る隙のある時ですが。 仮にその時車が来ても警笛を鳴らしたり怒鳴ったりすることはなく、車は渡らせてやるのが普通です。
横断歩道以外のところでも同様に隙を覗って渡ります。 タイミング悪く来た車は徐行するのが常です。 市中の車は非常に大人しい。 大げさに言っているのではなく本当です。 もっとも渡る隙のない交通量の多い広い道路はそもそも渡る隙はないのでそういうことはありません。
47. 郊外のドライブ
イギリスの一般道路は日本で一級国道、二級国道というようにA Road、B Roadとランク付けされています。 特に郊外のB Roadのドライブには心身を和ませるものがあります。
のどかな丘陵の牧場を通る曲がりくねった道を抜けると、こぢんまりとした古い家の並ぶ集落にさしかかります。 村の家々は古い石造りですがきちんと手入れされている。 童話の世界にいるようです。 更に進むとまた牧場が現れ、羊がゆっくりと草を食んでいる。
このような風景は都市部を抜けると、方々に見ることができます。 場所によってはきちんと手入れされた藁葺きの農家が並んでいる集落もある。 観光化されてしまっているがCotswolds地域は典型的なこのような田舎です。 イギリスは田舎が美しく、心が安らぐところです。
48. 洗車場
町の何ヶ所かには必ずといっていいほど自動洗車場があります。 IMOという会社がやっているものがほとんどで、洗浄トンネル内のコンベアに乗って出口で完了そのままさようならというタイプです。 結構長いトンネルで本格的なものですす。 4ポンドすなわち700円程度です。 日本にも昔あったように思うが、現在はガソリンスタンドに小形のものがある程度ですね。
雨のよく降る国であるにもかかわらず結構はやっているのは驚きです。
49. 駐車場の身障者表示
身障者はイギリスではdisabledと言われ、駐車場の一番便利なところに駐車場所が確保され地面にマークがきちんと描かれているのが常です。 老人を含む身障者本人あるいは同乗する車が駐車するわけです。 一般の車が駐車するところはお目にかかれません。
日本の場合は社会性がないのかモラルが低いのか平気で駐車する輩が多いですね。
50. 町の駐車場システム
イギリスでかなり一般化しているシステムはPay and Displayというやり方です。 無人の駐車場内の所々に発券機があります。
好きな場所に駐車し、コインで券を買います。 券には投入した金額に応じた有効期限時刻が印刷されています。 この券をフロントガラスの内側に見えるように貼っておきます。
時々係りのおじさんが回ってきて、違反車は課徴金を取られることになります。
簡単でなかなかいいシステムだと思います。
51. 飛行場の駐車場
Manchester飛行場の例を言います。
飛行場へは車で行くことが多く、広大な駐車場(car park)があります。 Long stayとShort stayの二種類あるのが常で名の通りの意味です。 Short stayは送迎に専ら使います。 従って一番便利な場所にあります。 Long stayでの駐車場はやや離れたところとなり、入り口で発券機から券を受け取り案内に従って駐車します。
付近のバス停から巡回バスに乗り込み目的のターミナルで降りればいいのです。 バス代は後で帰りに払う駐車代金に込みになります。
出張から戻ると、その券を清算機に入れ支払います。 Credit CardももちろんOKです。
券は支払済みのデータに書きかえられて出てきます。
この後、バス停からLong stay駐車場行きのバスに乗り込みます。 バスはLong stayの駐車場内を回ります。 車内で自分の車をとめた場所を例えばE17などと叫べばそこで降ろしてくれます。
私の知人でその場所を忘れたものだから広大な駐車場内をさ迷った者がおりました。
自信のない人はメモをしないと大変なことになるのです。
料金は10日で50ポンド弱すなわち8000円程度です。
Short stayも基本は同じですが、歩きであることと料金の高いことが違います。
なおクレジットカード使用可能の清算機はManchester飛行場では到着したターミナル内にありますが、LondonのHeathrow空港の場合は駐車場内にあって面食らうのです。
成田のLong stayと比較してみたいが経験がないので分かりません。
52. 車の盗難、車上狙い
イギリスは凶悪犯罪は少ないようですが、車に関連した盗難は多いようです。 私の知る範囲でも事件があり、部下の車が盗難に遭いました。 Land Roverの古い型ですが盗まれるようですね。 分解されて今ごろはロシアだと本人は言っていました。 最近の車にはImmobiliserなるものが付いて簡単には盗めないようになってきています。
別な例では社長がゴルフ用具をベンツの後部座席に入れておいて窓ガラスを割られて持って行かれました。 犯罪を誘うようなものは目に見えるところに置くなという注意を守らなかったために起きたものです。 大事なものは持って出るか、仕方がない場合はトランクに入れておくことです。 犯罪を誘わないようにすることが大切で、これは向こうで生活するには守らねばならない事です。
53. その他の犯罪
注意すべきはひったくりです。 英語でsnatchというのですが日本以上に危ない。 男性では手で持つ小さな紐付きのバッグがあるが、知人はこれをひったくられました。 パスポートや財布など貴重品一式を持って行かれました。 このバッグの中には貴重品が入っているよと示しているようなもので、本当に危ない。 ポケットに掏られないようにうまくしまっておくのがベストのようです。
また他の知人は空き巣に入られて、パソコンとテレビを持って行かれました。 イギリスは空き巣が多いので各家にはburglar alarmといって赤外線検知式のアラームを外出時にセットします。 空き巣が入るとけたたましい音を発します。 それでも空き巣は大はやりのようです。
54. キャッシュディスペンサー
日本のATMは監視カメラのある部屋に設置されているのが通例です。 イギリスは銀行やスーパーその他の店舗の外側の側壁です。 ちょうど日本の夜間金庫のような場所についている。 なおイギリスではCash machineといって引き出しのみです。
世界一安全な国の日本が中で、イギリスが外というのは、何故なのか考えても解が見つかりません。
55. 握手
握手は右手のみです。 両手を出すのはやめましょう。 日本式です。 なお右手で握手しながら左手を相手の肩や腕や手にのせることがありますがこれは親愛の情の表現で両手での握手ではありません。
左手を右手の下に添える韓国式も変わっていますね。
56. くしゃみと鼻をかむこと
習慣に大きな差があります。 イギリス人に限らず欧州人は人前でのくしゃみを嫌います。
こういうときは、周りの人は「Bless you.」といい、本人は「Thank you.」と返します。 くしゃみは魂でも抜けるのかと思うぐらいです。 無理に押さえ込んで我慢する人もいます。
日本人には信じられないことです。 一応欧州人の前ではくしゃみには気をつけましょう。 もう一つは食事後のシーハーは嫌われるので気をつけましょう。 とにかく口は鬼門のようです。
逆に彼らは食事中でも遠慮せず、所かまわず大きな音を立てて鼻をかみます。 いやですね。 これは日本人の習慣には合わないことです。
57. パソコンの操作
会社の中のイギリス人は老若男女を問わずパソコンを曲がりなりにも使いこなす人が多い。
考えて見るにこれは英語のせいであるなと思われるふしがある。
パソコンは基本的には英語から派生の米語でWindowsが作られている。 これは対話型であり、英国国民は簡単に理解できる。 おまけにローマ字、仮名、漢字というような3段にもなる入力変換の不便さはない。
このような理由でイギリス人はパソコンに違和感を持たないのだと思う。
58. 食事の作法
ナイフは右手、フォークは左手を使うこと。
肉を切る時だけ持ち替えるが、常にフォークを右手に持つ米国式はイギリスでは止めるべき。 欧州ではみっともない。 だから米人は欧州では好い目で見られないのです。
欧州文化が基本の米国であのような作法になった歴史を調べたいと思っています。
一説にはナイフとフォークの歴史は比較的浅くアメリカへの移民初期の頃にはテーブルマナーがまだ確立していなかったためとも言われています。 アメリカでは左手を膝の上に置いて右手のフォークで食べるのが作法と聞いたことがあります。
アメリカで右手のフォーク使いではすくおうとしたご馳走が逃げてしまい、しょうがなしに左手にナイフを持ち堰き止めて食べる場面に出会ったことがあります。 欧州式が理にかなっている。
Bush大統領がサミットなどの会食時どのようなテーブルマナーを使うのか知りたいものです。
開催地に合わすのでしょうか。
59. 年月日の順序
例えば2001年5月19日です。 これを簡単に書くと01/05/19ですね。
イギリスでは19/05/01です。 ドイツも然りです。 アメリカでは05/19/01だから困ったことになる。
この場合は判読できるが、19日でなく12日の場合は12/05/01と05/12/01だから大変です。 相手は自分の方式は変えません。
従って書類の出所を把握しないと失敗します。
私は日本式と欧州式が理にかなっていると思います。 東洋は降順、西洋は昇順が基本だからです。
いずれにしてもこの件は注意しなければなりません。
しかし、このアメリカの順序がアメリカ独自でないところに難しさがあります。 というのはイギリスでも新聞はMAY 08, 2001のように書かれるし、教会の中にある昔作られた聖人のお墓にもこの順序の日付が彫られていたのを見ています。 従ってこれはイギリスに端を発したものかも知れません。
でも全て数字の日付の場合はやはり昇順になり例外はありません。 会話でも日が先に来ます。 eighth of Mayです。
更にアメリカでも日月年の順序も使われていて、これをmilitary styleというようです。 ただし数字式ではありません。 このように、またややこしくなるわけです。
60. 男子小便器と大小便器
欧州の男子小便器、俗にいう朝顔の高さは非常に高いのが多い。 日本人の短足では届かないので往生する人が結構いると思う。
もっとも英国の新しい建物にある小便器は何故か低くなってきているように思います。腰掛け式の便器も高目です。 座り方によっては足がぶらぶらする。 向こうの人はとにかく足が長いですね。
61. 家庭用便器
日本の家庭用便器は水を流すと、新たな水はタンクの上の手洗いを経てタンク内に入ります。
英国ではこのようなのはありません。 日本式は合理的だと思います。
便座はすべてO形でU形はお目にかかりませんでした。
62. 男子小用 (欠字を見る技があります。)
書きにくいが書きます。
小用の最後に我々日本人は、息子を振りますね。 イギリス人やドイツ人は違います。 分かりますか。 彼らは息子をしごくのです。
下の話でした。 すみません。
63. 家庭の暖房
セントラルヒーティングは一般的です。 各家庭の屋内にはガスのボイラーが設置されていてお湯が各部屋にあるラジエータに循環します。 蛇口へも供給されます。 タイマーが必ず付いており、一日に2回ON/OFFさせます。 例えば朝4時にON、8時にOFF、午後4時にON、夜中の1時にOFFとします。 こうすると日中と真夜中に切れます。 このように家の中どこでも快適な温度にするのが今のイギリスです。
このヒーターは夏でも私は切りませんでした。 それほど夏は涼しいのです。
64. お金の系列
イギリスのコインや紙幣の系列は1.2.5です。 これは対数上でほぼ等間隔になり、深い意味がありそうにも思われます。 しかし日本は1.5ですね。
即ち2ペンスコインや2ポンドコイン、それに20ポンド紙幣があるということです。
日本の2000円札の不人気とは好対照です。
不思議ですね。
65. 度量衡
イギリスは元祖ヤードポンドの国です。 しかし最近では変わってきており、体積、容積はリットルなどになりました。 ただおもしろいことにビールはpint(パイント)という単位を使います。 1パイントは1/8ガロンで568mlになります。 重さはスーパーではグラムのポンド併記ですが、ステーキなどはオンス(ounce)です。 しかし長さにはメートルは全く使われず、マイル、ヤード、フィート、インチの世界です。 面積もエーカーの世界で分かりづらい。
メートル法はフランスが元祖ですからイギリスはその採用にかたくななのです。
気温は日本と同じ摂氏です。 華氏でなくて本当によかった。
66. パブでの飲食の仕方
イギリス人にとってパブは欠かせない憩いの場所です。 既にいろいろな本で紹介されています。 パブでは飲むだけでなく簡単な食事を取ることができます。 昼食もOKです。
中にはカウンターとテーブルがあります。 カウンターで銘柄を指定した上で、「a pint of lager please」といってビール1パイント約570mlを注文すると現金引換えで渡してくれます。
ビールはbitterとlagerが一般的で最近は伝統的なbitterよりも大陸からの新参のlagerの方が好まれているようです。
パブでは食事もできます。 定番のfish and chipsなど食べることが出来ます。
この時はテーブルを確保しカウンターで注文することになります。 テーブルにはナンバーがふってあるのでそれを伝えます。 やはり先払いが多いです。
fish and chipsのfishはタラのフライです。 ヒラメのフライもあります。 chipsはpotato chipsのことです。 しかしこの英語のpotato chipsとは日本ではフレンチフライと言っているものです。 これに塩を振りvinegar(酢)を振りかけてたべます。 このvinegarは日本の酢とは違ってそんなに酸っぱいものではありません。
日本語のポテトチップは英語ではcrispsといいます。 日本では米語の影響でこのようになったのですね。
67. お金の支払い方
技術立国の日本では今でも現金支払いが主流です。 クレジットカードは持っていても使う機会は少ないですね。 使えるところが少ないから悪循環になっている。
これに対して英国ではCredit Cardの他、Debit Cardが一般化しており、個人の小切手も一般的です。
従って、現金を多く持ち歩く必要はないのです。
スーパーでの買い物に普通は現金を使いません。 Debit Cardになります。 またよほどさびれた店を除けばどのタイプの店でもCredit Cardを扱っている。
ただし若年層と老人は財力がないため、カードの発行を受けられず現金払が多くなります。
銀行カードはDebit Card + Credit Cardになっているのが一般的です。
電気、ガスなどは自動振込みはもちろん出来ますが小切手、英語でchequeといいますがそれをを手紙に同封して送ることも一般的です。
日本はなぜか現金主義ですね。 JRも自社発行カード以外ではだめでしょう。 日本は何故消極的なのでしょうか。 クレジットカード会社に手数料を取られるのがいやなのでしょうね。 世界の趨勢からずれている。 困ったものです。
68. 贋札
イギリスでは贋札が多いのでしょうか。 スーパーのレジで札をかざして確認している光景を時々見ました。 更に札にペンで何かを書き込む光景も見ました。 これは特殊ペンで真贋を見ているらしい。 日本ではお目にかかれない光景でした。
69. 税金
消費税についてです。 日本では5%で3%から上がる時、大騒ぎしました。 イギリスでは本と郵便物を除いてなんと17.5%です。 非常に高い。 欧州はどこも非常に高いのです。 その代わりかどうかは分からないが、高速道路は無料です。 これは既に述べました。 現在、日本で高速道路の民営化が話題になっていますが、イギリスを始め欧州では税金で高速道路を作るのが主流です。 前に述べたように無料高速道路は一般道との接続が良く、その点の経済効果は大きいと思う。 また料金所の経費が不要になる。 税金は高いがこの方がトータルとしてのプラスの効果が大きいように思う。
日本の場合は残念ながらこの期におよんで税制を変えての無料化は不可能でしょうから、受益者負担の方針を維持しつつ民営化という世界に例のない方向を模索しているのでしょうね。
70. 小切手 cheque
クレジットカードと並行して、イギリスでは小切手が支払手段の重要部分を占めています。 普通の個人が振り出せるのです。
小切手は細長い一枚の紙でこれが小切手帳に綴じられて1冊になっている。 振り出す時はこれに振りだし先、年月日、金額の数字、更に言葉で金額を書き、サインをします。 振りだし先だけがこの小切手を現金化できます。 言葉で書くとは例えば125ポンドの場合は、
one hundred and twenty five pounds only
と書くのです。 慣れるまでやや戸惑います。
これは個人にとって非常に便利なシステムです。 英語でchequeという小切手のいいところは手紙に同封できることです。 従って旅行費用のエージェントへの支払いは小切手を郵送します。 現金書留郵便は不要です。 税金の支払いも小切手です。 タクシーでも何でも、小額でももし現金の持ち合わせがなければ、小切手が使えます。
会社での旅費清算なども小切手をやりとりしました。 更には飲み会などの個人間清算も小切手です。 小切手の振りだし先に相手の名前を書けばいいのです。
自分宛ての小切手は銀行に持って行って口座に振り込んでもらいます。
非常に便利なのですが、聞くところによれば銀行の小切手処理が大変で膨大な費用がかかっているようです。
このシステムはアメリカも似ていると聞きました。
71. イギリスの桜
我々は桜は日本に特有のものと思っています。 ところがイギリスには桜が結構たくさんあり、春には花が同じように咲きます。
日本と何が違うかと言えば、桜はイギリスでは庭木の一本でしかなく孤立して咲いている。
日本では並木や公園など一帯に咲き誇る。
その差なのですね。
72. あじさい
私の住んでいた家にはあじさいが咲きました。 あれは日本の花かと思いましたが、イギリスにもあるのですね。 日本原産のように思います。
73. 生き物
虫、鳥、小動物についてです。 私の住んでいた家には大きな木が何本かあり、そこにはリスがたまに顔を出しました。 日本のリスとは違って灰色をしていました。 よく来る鳥は日本では見慣れないカラスを小形にしたような鳥です。 調べると外見通りBlackbirdというのでした。 この鳥は方々にいてありふれた鳥です。
その他、スズメをたまに見かけましたが、不思議なことにBoltonは海から遠いにもかかわらずカモメをよく見かけました。 少し離れた海岸の崖に行くと、Puffinと称する海鳥を多く見かけます。 色が層になった大きな嘴を持っていて愛嬌のある顔つきをしています。
家では蝿や蚊を見かけることはなく、蚊については外でも見ることはありませんでした。 シベリアのツンドラ地帯には沢山の蚊がいるのに、イギリスにいないのは不思議ではあるけれども、理由は定かではないがイギリスは蚊には合わない気候なのかもしれない。
74. 日食
私の滞在中2000年に皆既日食がイギリス南東部であり、大騒ぎになりました。 私のいた町Boltonでは部分日食で7割方欠けるということで会社でも話題持ちきりでした。 会社は気を利かせて従業員に日食用のサングラスを配布したのです。 1ポンドぐらいしたようです。 いい儲け商売だったように思います。
当日は幸い晴れたので、皆で臨時に仕事を中断して外で眺めました。 神秘的でありました。 外は大分暗くなったのですが太陽を肉眼でチラッと見ても欠けているのは分からない。 眼鏡をかけると分かります。 滅多に経験できない日食(eclipse)でした。
75. 老人と子供
イギリスは繁華な所に家族連れの老人や子供を多く見かけます。 日本と比べると家族の面倒見が遥かによいように感じます。
また老人が電動椅子というのでしょうか電動移動機で走っている光景もよく見ます。 日本ではまだ珍しい光景です。
先進の日本で普及が遅いのは納得ができないところです。
76. レストラン事情
イギリスのレストラン事情についてです。
私の住んでいたManchester近郊のBoltonという町には数多くの異国レストランがあります。
純英国のものはともかくとして、中華、イタリア、インドが多い。 それに少数派として、フランス、スペイン、ギリシャ、韓国です。 日本レストランは少ない。 外国系はその国の人が中心になって働いているのが常ですが、日本レストランの場合は韓国、フィリピン人などの経営が多く、料理も「もどき」です。
ロンドンでは事情は大いに異なるのですが、地方では日本食はマイナー中のマイナーであり店内に客は少ない。 やはり日本食はインターナショナルな料理ではないようです。 それに引換え中華レストランは平日でも客の入りはいい。 やはり中華料理は世界の頂点にあるようです。
77. イギリスの中国人
イギリスには中国人が大勢住んでいます。 大体は広東語を話す人達でイギリスと関係の深い香港地域と繋がりがあるようです。
ありがとうは北京語の「謝々」ではなく「ンゴイ」と教えられました。 漢字は「唔該」と書きます。 中国語の方言差は英語とドイツ語間以上に違うようで、漢字による視覚言語でお互いに通じ合っているのですね。
イギリスのどこへ行っても中国人がいて中華レストランがあるのには感心します。
Manchesterにも中華街があってシンボルのゲートがあり、そこにはチャイニーズレストランやらマーケットやら床屋やらが密集しています。 また大きな中華スーパーもManchester内には数件あります。 英語を喋れない人も多いようです。 本当に彼らは生活力が旺盛です。
Manchesterに住む日本人は中華スーパーにある日本食コーナーで米、味噌、醤油、油揚げ、豆腐、酒、梅酒、ヤクルト、味醂、納豆、パン粉、てんぷら粉、わさび、からし、めんつゆ、ラーメン、うどん、素麺、大根、にら、漬物、味の素、ふりかけ、竹の子、干しシイタケ、など日本食材を仕入れているのです。 中国人のお世話になって食いつないでいるわけです。
78. Minority
イギリスはかつては世界最強の帝国で7つの海を制覇しました。 英連邦を形成していたわけで、そこから昔は多くの人々がイギリスに渡りました。 中国人、インド人、パキスタン人が主要な人々で
それを先祖に持つ多くの人が住んでいます。 中国人は香港近くからの人々で主にレストランをはじめとする商業活動に従事しています。 インド人やパキスタン人あるいはバングラディッシュ人も非常に多い。 やはりレストランなどの他、工場や会社務めをしています。 これらのminorityはやはりイギリスに溶け込むのに苦労が多いようです。 ごく最近Manchester近くで衝突があったと報道されました。 イスラム教やヒンズー教など宗教の違いもあって複雑なのです。 インド系は額に赤い印を付け、パキスタン系は白いお椀状の帽子をかぶるなど、宗教色が見え、住む場所も違ってきています。 またBoltonにはヒンズー寺院やイスラムのモスクがありました。
79. 自炊
私は単身赴任で滞在しました。 最初は毎晩外食をしたのですが、これは次第に耐えられないものになってきます。 外食はたまにするから良いのですね。 それと人と喋りながらするから良いのですね。 一人だけの外食は毎晩ともなると面倒だし、ゆっくりしたいのにとやり切れなくなります。
従って下手でも自炊となるのです。
毎日の肉、魚、野菜などの材料とビールそれにミネラルウォーターは近くのスーパーで買います。 1週間分の買いだめです。 中華スーパーでは調味料、米、それから日本食材です。 それに冷凍シュウマイ(焼売)を買います。 このシュウマイは非常に美味しい。 中華スーパーで買った小さな専用蒸篭で蒸し、めんつゆをつけて食べました。
日本に戻ってから何回か買ってみましたが、美味いシュウマイはまだ見つかっていません。
いつも買っていた米は「あきたこまち」でした。 この米は実はアメリカから輸入されているのです。 白く濁っているところもすくなく透き通っていて、まあまあだと思いました。
米は日本から持って来た炊飯器で炊きます。 テレビをゆっくり見ながら下手な一品料理を肴にして毎晩イギリスのビールを飲むという夜になります。
80. レストランでの勘定
食事をしたら金を支払います。 日本では請求書を持って出口で支払います。 イギリスや欧州ではその場のテーブルで支払います。 これはアメリカでも同じです。
食事が終わったら自分のテーブルを担当している給仕に「Bill please.」といいます。 勘定をお願いしますという意味です。 アメリカではbillではなくcheckです。 そうすると給仕は勘定書billを持ってくるので、確認の上credit cardを勘定書billと一緒に渡します。 暫くして給仕がまた来て持ってきたシートにサインをし、その写しとreceiptとcredit cardを受け取ってお終いです。 ただしチップを勘案します。
日本のやり方の方が面倒くさくなくていいですね。
ここで笑い話です。
すでに聞いていて、これはただの笑い話と思っていたのですが本当の話でした。 眼前で経験しました。
私が他の会社関係者と会食していて相手の日本人が勘定を払うときです。 例によって「Bill please.」と言ったわけですが、その結果ビールが来ました。
笑うに笑えず苦しい思いをしました。 お分かりのとおり「Beer please.」と聞こえたのです。 普通はbeerといっても種類があるので、それを指定する必要があるのですが、会食で既にビールを頼んで飲んだわけなので給仕は承知している。 従ってこの時はbeerだけで理解できたわけでそれ以上聞かれなかった。
このようにしてこれは笑い話では済まされない笑い話であると悟りました。
81. 勘定場
デパートなどの勘定場には「Pay Here」と書いた案内版が天井から下がっています。
「ここで払え」と単刀直入です。 日本で見るCashierは書かれていません。
82. 自動販売機
イギリスでは街角には自動販売機は皆無です。 しかし、会社内や公共施設内などにはあります。 規制されているのだと思います。
83. 高級ブランド
イギリスの皆さんは高級ブランドには本当に無頓着です。 Manchester地域の私の行動範囲内ではそのような店を見かけることはできませんでした。
もっともロンドンに行けばBond Streetなど有名なところがありますが、客は観光客かよっぽどの金持ち階級でしょうね。
イギリスにはBootsという大衆向け化粧品や衛生用品などの小売のチェーン店があります。 先日テレビを見ていたら銀座に店を出していました。 場所を間違ったのではと思いましたがそうではなくて銀座が変わったのですね。
84. 蛇口
英語で蛇口をtapと言いますが、これにレバー式のものがありますね。 日本ではほとんどが下側で水が出る。 イギリスでは下で止まります。
これには理由など何もないのでしょうね。
85. お湯の出る蛇口
イギリスの台所の蛇口は水とお湯が出口の先まで分離していて、出てから混じるのです。 どこのもそうです。 従って上の方に手をやりすぎると熱くてびっくりしてしまいます。
何故こうなっているのでしょう。 おもしろいですね。
また、お湯用蛇口と水用蛇口が左右別々に離れている洗面所が多い。 これでは片方は熱過ぎるお湯、もう片方は冷水だから洗面器なしでは顔を洗えません。 きっと下に直接ためて顔を洗うのではと思いますが、不潔でできません。
86. 下着
ワイシャツの下に下着を着るのは当たり前ですね。 ところがイギリスでは直接ワイシャツが当たり前です。 違いますね。
87. 毛糸のチョッキやセーター
冬、毛糸のチョッキあるいはセーターをワイシャツの上に着込むのことはイギリス人は絶対にやりません。
私もイギリスでは郷に従えとばかりに真似をしました。 しかし寒いので代わりに下着を2枚にしました。
モンゴロイドは寒さに耐えるために平面的な顔に進化したと、聞きましたがアングロサクソンは明らかに日本人に比べて寒さに平気で、暑がりです。 これは間違いありません。 しかしなぜ平面的な顔にならなかったのでしょうね。
あの説は信用できない。
88. 紙
日本の会社では裏紙を使うことを節約、美徳としています。 イギリスではこのようなことをしません。 リサイクルに回すか捨てます。
日本の感覚とは違うのですが、考えようによっては裏紙を裁断して揃えるという手間あるいは人件費は不要なわけですし、紙業界も潤うというプラスの効果があるかも知れません。 また丸秘書類がうっかりと裏紙に使われる危険性もある。
日本の場合は実際的な効果よりも姿勢を問うのですね。
89. 事務所の掃除
日本の会社、特に製造会社では自分らで事務所の清掃をするところが多いと思います。 イギリスではしません。 5時を過ぎるとおばさんが来て掃除をし、屑入れを空けます。 毎日します。 窓拭きは時々おじさんが来てやります。 外注で行なうのが普通です。
どの会社でもそうであり習慣でもあるのですが、雇用の機会を増やすためでもあるようです。 これは英国に限ったことではなくドイツでもそうでした。
日本は独特のようです。 日本は何でも「倹約は美徳」に走りすぎる傾向があります。 それとも社会が貧乏なのでしょうか。
90. 電柱
ヨーロッパの先進国はどこもそうですが、街には電柱がありません。 電線は地下を通っています。
先進国の日本は地上ですね。 電柱がなくなると日本の町並みも随分すっきりと綺麗になると思うのですが。 更には電柱に車が衝突し死亡ということもなくなるのですが。
地震があるから云々というのは言い訳です。 ガス水道は地下ですからね。 電気もできないわけはない。 やろうとしないだけです。
91. 家庭ごみの出し方
イギリスでは分別回収をやっていません。
生ごみからガラス瓶や電球まであらゆるごみは「Dust bin」と称する車輪付き、蓋付きのドラム缶ほどの大きさの容器に入れます。 毎週1回家の前に出しておくと、大きなトラックが来て一戸ずつ順番に回収して行きます。 クレーン付きのものです。
このごみは焼却ではなく、郊外のごみ捨て場に投棄しごみの山を作ります。 近隣ドイツの分別徹底に比較して正反対です。 その内、破綻すると思います。 日本の焼却にしてもダイオキシンを出すし、CO2を増やすしで良くないと思いますね。
92. 台所の換気
一般の家庭の台所には煙の排出口になる換気扇などないのが一般的です。 魚を焼くと煙が中にこもり、臭いが抜けなくなる。
日本では考えられないことです。 従って現地に住む日本人は料理に工夫をしないと大家に嫌がられることになります。
93. 食器洗い
洗濯機ほどの大きさのある全自動皿洗機が普及しています。 しかし、少量の場合は手洗いもやるわけです。 自分の目で確認する機会はなかったのですが、聞いた話ではイギリス人は食器を洗剤で洗っ後、すすがないでそのまま乾燥籠に入れるだけだそうです。
本当でしょうか。
94. 電圧
イギリスでは家庭に来ている電気の電圧はなんと240Vもあってこれは世界一高い。 日本は100Vで世界一低いと思う。 このため向こうでの生活に日本の電気製品を使うために変換トランスを持っていきました。 イギリスでは240Vもあり危険なので、感電防止のために器具が非常にごつくできています。 差込のコンセントは3端子式で非常に大きいものです。 このように電圧が高いのでパワーの大きい電気製品を使ってもコードは熱くなりません。 発熱はI2Rで効くわけだから、240Vの効果は随分と大きいものです。 単純にいえば日本の場合は5.76倍コードに熱が出る計算です。
ちなみにドイツでは220Vになります。
95. 洗濯機
ドラム式しか売っていないようです。 乾燥機付きでも500ポンド、9万円程度です。 日本でも似た製品がありますが、倍していました。
何故タイプが日本とイギリスで分化したのでしょうか。
使ってみてドラム式では洗濯時間は長いが生地に優しいという印象です。 なお水とお湯の両方の配管が必ずされています。
観察すると水が下の方にだけあって、ドラムが比較的ゆっくりと回転し中の洗濯物が一緒に途中まで上がって行きそして落下する。 それの繰り返しです。 叩き洗いのような感じです。 乾燥機との一体化は簡単だし結構優れていると思いますが。
最近コインランドリーに行って判ったのですが、ここにある洗濯乾燥機はイギリスのものとタイプが同じですね。 違うのは大きさです。 これが家庭に普及すれば向こうと同じですが、その兆しは見えませんね。
96. 野菜、果物、飲み物
イギリスの野菜はきゅうりとねぎがとにかく大きくて太い。 ピーマン(pepper)も緑、赤、黄とあってやはり非常に大きい。 大根、蓮根はありません。 三つ葉はないがコリアンダーはあります。 ナスはaubergineといって日本でとそっくりのものが売られていますが、調理してみると皮が随分と硬いと思いました。 人参は同じです。 更にはカブのような形の根菜がturnipという名で売られていました。辞書を調べるとカブと書いてあるし、そのつもりで買ってしまいました。 味は人参でした。 オクラ(okra)はありました。 あれはアフリカ原産らしいですね。 白菜は人気があるようでChinese lettuceという名前で売られています。 セロリ(celery)もポピュラーです。 しかし日本と違って軸の部分が束になって売られている。 イギリスでは軸の部分をマヨネーズなどを付けて食べます。 日本では葉の部分が多いがサラダにでもするのでしょうか。 食べ方が違うようです。 マッシュルームは大量に並べられています。 これはいろいろな料理にしていっぱい食べるのだと思います。 シイタケが「shiitake」という名前で売られています。 でも肉薄であまり品質は良くない。
みかんが「satsuma」という名で売られているのには目を見張りました。「satsuma」の由来はやはり薩摩産ミカンの苗木からなのでしょうか。
それに柿を見つけました。 柿はアジア原産でヨーロッパでは本来は珍しいものです。 英語ではpersimmonというはずですが、Sharon fruitという名で売られていました。 理由を調べてみると、最近イスラエルの「Sharonの野」という地域で柿が育てられ輸出されていて、それでSharon fruitという名がポピュラーになって来ているようです。
お菓子類に米菓はないのは当然としても、非常に多く売られているのは、ポテトチップスです。 英語ではcrispsといいます。 これは一回用の小袋を6個大袋に詰めて大量に売られている。 袋は空気で膨らませてあって割れないように配慮されているのはなるほどと感心しました。 いろいろある中でビスケットがなかなか美味しいと思いました。 クッキーとは言いません。
卵も大量に売られている。 レジでは割れていないかどうか、売り子が確認する習慣があります。
豆腐はたまに見かけることがあり、tofuの名で売られていました。 カップ麺も売られていますが味付けが違うので美味くありません。
ミネラルウォーターやジュース類の売場も大きい。ビールは様々な銘柄のものが置いてあります。 スーパーのprivate brandのビールも置いてあってこれはやや安めですが決してまずくはありません。 大体は500mlカンですが、アルコールがやや弱いので、日本の350ml相当の酔い加減になります。
缶詰はいろいろあります。 しかし味付けされているのはすべてだめ。 口に合わないし美味くありません。 しかし、brineと表示のある魚の缶詰は大丈夫です。 このbrine表示は薄塩の水煮なので重宝しました。
スーパーでのポリ袋は日本の場合と似ているのですが、最近は小さな穴のあいているものが多くなりました。 子供の窒息防止のためです。 しかしごみ袋としては使いづらい。
97. ごみ袋
イギリスの家庭でも日本と同じようにくずかごや台所のごみ入れ用にごみ袋を使います。 そのごみの入った袋は一杯になれば、回収用の大きなDustbinに放り込みます。 このごみ袋は日本と違ってトイレットペーパーのようにロールで売られています。 大袋も小袋もそうです。 日本とは違うと思いました。
98. プラスチック
日本ではポリ袋やビニール袋などと言いますが、向こうではplastic袋になります。 日本でプラスチックというと固い成形されたものに限定された意味になりますね。
99. 魚
イギリス人の好きな魚は鱈(cod)、鮭(salmon)、カレイ、平目(plaice)です。 白身魚はきっとフライにしてfish and chipsにでもするのでしょう。 さらにsmoked salmonが好物なようで、多く並んでいます。 smoked salmonは安くておいしく酒の肴に好適です。 日本では馴染みは薄いがsmoked mackerelすなわち燻製鯖も多く並んでいます。 イギリス人の調理法は分からないが、なかなか美味しいものです。
その他、アンコウ(monkfish)やマグロ(tuna)も並んでいます。 店によってはマイワシもあります。 スーパーには昔の魚屋のような対面販売コーナーもあって必要なだけ買うことができます。
このようにイギリス人は結構、魚も食べるようです。
100. ソーセージ
英国のソーセージには穀類が混ぜられていてねっとりした感じで、正直言って日本人の口には合わない。 美味くありません。 英国人にはこれがいいらしく、マーケットでドイツ系のプリプリタイプを買おうと探しても見つかりません。
好みとはこのようなもののようです。
101. 肉
マーケットに売られている肉は牛、豚、羊、鳥(poultry)と日本と変わらないが、違うのは薄切り肉がないことです。 その他、特徴的なのはベーコンが非常に多く売られている。 朝食にベーコンと卵が必ずといっていいほど食べられるためです。 Gammon steakとして食べるベーコンの塊もあります。ハムはすべてがスライスされたものばかりで、日本での事情に似ています。
イギリスでもすき焼きが食べたくなります。 材料は大体は手に入るのですが、だめなのは薄切りの牛肉です。 いくら探しても見つからなかった。 包丁で薄切りするのは難しくて出来ません。 自己流薄切りではやはり美味くありませんでした。
102. イギリスの料理
イギリスの料理は美味くありません。 一般にゲルマン系は不味く、ラテン系は美味しいと言われているのは事実です。 アングロサクソンの故地は北西ドイツのデンマーク付近ですから、典型的なゲルマン系です。
イングリッシュブレックファストはベーコン、卵、ソーセージ、焼きトマトなどが熱い皿に盛られたものです。 これはまあまあですが、ベーコンは塩味が強すぎる。 夕食にはローストビーフ、ステーキ、ヨークシャプディングなどがあるのですが、ステーキは味がなく不味い。 焼き方もレアを頼むとミディアム相当になる。 おまけに火加減が違っていて、表面は大体ウェルダンになっている。 林望氏が「イギリスはうまい」と本に書いているがそうは思いません。
トマトでも何でも野菜はよく煮込んであって不味いと思います。 煮たり焼いたりしたトマトはいただけません。
でもイギリス人にとってこれがおふくろの味、伝統の味ということで他にいくらおいしいものを経験してもここに戻るようです。
イギリス料理は美味いとは思わないのにマナーだけは形式ばったものになる。 ナイフやフォークを左右に使う順に外から並べる。 フランスなどでは次の皿と一緒にナイフとフォークが出てきます。 よっぽど合理的です。
103. ファーストフード事情
イギリスのFast Food(ファーストフード)はアメリカの影響が非常に色濃いと思います。 日本の事情に似ている。
日本では古来のファーストフードであるうどんやそばにハンバーガーなど外来のものが入ってきた。
イギリスでは古来のものにフィッシュアンドチップスがあります。 これはコーン状に折った紙にフライされたfishとchipsを入れ、それに塩を振り、ビネガーを振り掛けて本来は立ち食いするものです。
今ではアメリカからのMcDonald’s、Burger King等のハンバーガー屋さんや、ケンタッキーフライドチキン、ピザハットが目につきます。
104. テレビ事情
イギリスの地上波は5チャンネルほどと少ないが、優れたシステムがあり、字幕を出せる番組が非常に多い。 ニュースも然りです。 ニュースの場合はキーインが追いつかないいためでしょう字幕が少し遅れてついてきます。
これは難聴者deafへのサービスなのです。 外国人向けにもいいと思うかもしれませんが、速すぎて目で追うと疲れてしまいうまくありません。 また字ばかり追うと画面がお留守になります。
日本では非常に遅れています。 もっともやろうとしても日本語の表記システムでは漢字変換に手間取り、誤変換が頻発してしまい同時性は難しいかもしれない。
またTeletextといって画面から天気予報やら交通情報やらいろいろインターネットで得られるような文字情報を常時流しています。 進んでいます。
105. 日本のテレビチャンネル
衛星放送の数あるチャンネルの中にJSTVがあります。 これは日本語のテレビチャンネルで、番組はNHKを主体に民放が一部入って構成されています。 大方の現地駐在日本人が見ているもので、1ヶ月30ポンド約5400円必要になります。
見ていて戸惑うのは画面が突然静止連絡画面に変わることです。 これは放映権のない画面がニュースなどに出るとそうなります。 スポーツニュースなど特にそうなります。 このため日本で開催される国際競技は見ることができません。 2002年のワールドカップもだめですね。 イギリスのBBCなどで見ればいいのではと思うかも知れませんがそうはいきません。 英国チームが主体の放送になるからです。
このJSTVばかり見るのは好ましくありません。 イギリスにいるのにBBCを見ないのはせっかくのチャンスを台無しにしているわけですからね。
106. ボディランゲージ
親指を上に立てるとGoodの意味です。 下にすると、そうですBadの意味になります。
人差指と中指を上に向けて交差させるとGood luckの意味になります。 他にもいろいろあるようです。
日本ではNoの表現では顔の前で手をひらひら振ります。 これはイギリスでは通じません。 この人は何をやっているのだろうと思われるでしょうね。 口でNo, thank youと言います。
107. オーディとは
英語では日本人では思いも着かない言い方になります。 車のAudiはオーディに髭剃り器のBraunはブローンになります。 でも聞いていて気付きます。
108. 方言
イギリスは日本と同様に古い国だけあって、方言が色濃い。その人のしゃべり方で、出身の村まで分かるといいます。
標準語はBBCのニュースで聞けますが、一般の人は無頓着です。 会社内ではその土地訛りを色濃く残した標準語をしゃべります。 日本の我々と同じで家では方言丸出しだが会社では標準語もどきをしゃべる。
Manchester付近はLancashire方言などの北部方言に属します。 発音だけではなく語彙なども独特のものがあり、youを意味する古いthouというような単語も日常語のようです。 このような状況は日本と変わらないと思います。
そこではmaskを日本語と同じような音で「a」を短く発音します。 BBCなどの標準語では「a」の音を伸ばします。 アメリカでは発音記号[æ]でおなじみの「あ」と「え」の中間音ですね。
canなどはキャンではなくカンに近い音です。
またSundayやMondayでは「う」と「お」の中間音になるのでスンデイやモンデイのように聞こえます。 busはブスのように聞こえます。
アルファベットのHは常にヘイチと言います。 h音が入るのです。 この方が理にかなっていると思ったりします。 またcoolはキュールと聞こえます。 twentyなど「ティ」の語尾は「テ」のように聞こえます。 このように地方色が豊かです。
隣の国アイルランドに行くとアメリカ的な感じが耳につきます。 アイルランドでは昔ジャガイモの飢饉のせいで生活できなくなった人々がアメリカへ大挙して移民し、主に中西部へ拡大しました。 デビークロケットはアイルランド系です。 ケネディやレーガンそれにクリントンもそうです。 西へ西へと入植して行った開拓者が話したアメリカ中西部方言はアイルランド方言が土台になっているのではと思います。
アメリカ北東部に入植したピューリタンはLondonに近いところから出ているため、例えばBostonなどには伝統的イギリスの雰囲気が色濃く残り、言葉もアメリカ中西部とは違うのですね。
イギリスのtodayがto dieとなるなまりが有名です。 I go to hospital to die. に聞こえるのです。 あれはLondonからBirminghamにかけて聞かれます。 でも彼らはmyとmayはきちんと区別しています。 mayはマイでmyはモイと聞こえます。 この点についてはManchesterでは標準どおりです。
109. Wales
ウェールズでは英語とは異なるウェールズ語を喋る人が多く残っています。
昔5世紀にアングロサクソンが大陸から大挙してこの島に渡ってきた時の住人はケルト人でした。 彼らは辺地に追いやられました。 スコットランドの北方、イングランドの南西端、それにウェールズです。 その末裔がゲール人としてスコットランドの北方に住み、ウェールズ人としてウェールズに住んでいるのです。 イングランドの南西端の人々はフランスのブルターニュ(Bretagne)に逃れました。 このBretagneはBritainに通じます。
このようにして今話されるウェールズ語は昔は迫害され英語に置換えられて行きましたが、今になって方針変更され生き残り策が取られています。 ウェールズを訪れると交通標識は英語とウェールズ語の2言語併記になっていて最初はオヤッと思います。 またラジオやテレビのウェールズ語放送があります。
110. イギリス人の容姿、特徴
イギリス人、特にEngland人はドイツ北西部のゲルマン人であるアングル族、サクソン族、ジュート族の血が濃いわけです。 しかし無視できないのは先住のケルト人との混血です。 更には北欧からのバイキングの血も色濃いはずです。 言葉はゲルマン系の英語ですが、人種的にはかなり混じっていると言えます。 ドイツ人などとの特徴の差はその辺にあると思います。
金髪は少なく大体は茶色です。 肌の色はもちろん白いが、更に白いとピンクがかってくる。 このような人も多い。 子供は金髪が非常に多いが、6才頃には次第に濃くなって茶色になるのだと知りました。
目は茶色から青色と幅があります。 明るい青色は非常に少ないと思います。
背はそんなに高くはありません。 近頃の日本の若者は決して負けません。 ただし足は長いですね。 会議になると良く分かる。 腰掛けると日本人の方が総じて目線が高い所にあるのですが、立ち上がると逆になる。 がっかりします。 彼らはまた、肩幅が広くて頭が小さく小顔です。 一緒に会社で働いていると良く分かります。
また彼らには黒子が非常に少ないですね。 いぼ状の黒子のある人はたまにはいますが、いわゆる平らな普通の黒子は非常に少ない。 その代わりにそばかすのある人が目立ちます。 また彼らは歯並びが綺麗です。 眼鏡と出っ歯と蟹股が特徴の日本人とは随分違う。 彼らにも歯並びの問題があるわけですが、熱心に矯正をしています。 子供たちの口を見るとそのような子を時々見かけます。 日本は八重歯がかわいいと言われたりしますが、イギリスでは通じません。
また不思議と蟹股は見ませんね。
女性は胸とヒップがよく発達していると思います。 肉感的です。 若い女性はへそなど露出度が高く悩ましい。
このように見ると体に関して日本人は見劣りがするのは否めません。 しょうがない。 頭で勝負しましょう。
111. 地名の綴り
イギリスの地名の読みには悩まされます。 発音が時と共に変化しても昔の綴りが残っているせいでしょうね。 日本語の「てふてふ」と同じようなものです。
いくつか紹介しましょう。
Worcester, Leicester, Birmingham, Warwick, Fulham Road
これを敢えて読み通りに綴るとWuster, Lester, Birmingam, Warick, Fulam Road です。
最初の地名はウスターソースで知っているはずですね。 最後の地名は三浦事件でフルハムロードという店の名前が報道されたと記憶しています。 これはロンドンにある街路の名前から取っています。 誤った読みは三浦はロンドンに行ったことがなかったためなのでしょうか。 最近はサッカーの稲本がFulhamに移籍したのでこの名を新聞で見かけます。 当初は「フルハム」が目に付きましたが、最近は「フラム」と正しくなってきたようです。
-hamが付く地名は全てhを外して読むことです。 Warwickはウォリックです。 ワリックにならないように。 またウォーウィックやワーウィックでもありません。
-wickや-wichが語尾に付く場合はwを外して読みます。
その他、Scarborough、Marlborough、Edinburgh等のように-boroughや-burghの綴りを持つ一連の地名があります。 これらは全て「バラ」と読みます。 マールボロではなくマールバラなのですね。
これはドイツの都市Hamburgの綴りにある-burgと同じで町を意味しています。 またスエーデンのGöteborg(イェーテボリ)の-borg、フランスのアルザス地方にStrasbourg(ストラスブール)がありますがその-bourgも同じでゲルマン系の言葉です。 フランスのアルザスはもともとはドイツ語地域ですがフランスに編入された歴史があるからなのですね。
なお、イギリスの地名は数多くアメリカに移植されています。 しかし各国からの移民の国であるため、イギリスで歴史的に変化してきた結果である伝統的な言い方から変わっている例が多くあるので要注意です。 例えばAlabama州にBirminghamがありますが、彼らは「バーミングハム」と言うようです。 人々は知らないもの同士だったために視覚が先行して綴りどおりの読みになってしまったのですね。
112. ヨーロッパ
イギリスからみて大陸側のヨーロッパは「the Continent」というはずですが、彼らは普段はそうはいいません。 「Europe」というのです。 あたかもイギリスはヨーロッパに属していないかのような印象を与えるいい方で、違和感を覚えました。 島国特有の感覚かもしれません。
日本でもまわりをアジアといい自分達を含めない場合があります。 我々もイギリスと同じことをやっているようですね。
113. First nameの読み
英語の人名で読みが難しいのは多くありますが、一般的なFirst nameで特に誤読しやすいのが「Stephen」です。 これをステファンと読んでしまうのですが違います。 これは実は「Steven」と同じなのです。 すなわち「スティーブン」です。 ドイツ人などに「Stefan」がいてこれは「シュテファン」だからややこしくなる。 難読というよりも誤読しやすいわけです。 日本の新聞や雑誌などにも間違いがあるようです。
114. 夏時間
4月には夏時間に切り替わります。 朝は暗くなり夕暮れは遅くなる。 良い制度だと思います。
日本の夏は朝4時頃から明るくなり、夕方7時頃薄暗くなる。 朝の明るさを夕方に回すべきです。 以前日本でも2003年から適用すると報道されましたね。
昔、新聞の投書欄で読んだことがあります。 夏時間に移る時、会社や学校の開始時刻の調整で大混乱に陥るから反対だと。
この人は大変な誤解をしています。 開始時刻は変わらない。 単に時計の針を1時間ずらすだけです。 日本ではこのように誤解をしている人が意外に多いかも知れません。
この制度に慣れた英国では切り替わり時点で騒ぐことはありません。 話題にものぼりません。
115. 会社内の帽子
イギリスの製造会社内では帽子をかぶる習慣はありません。 これは日本流なのだと思います。 きっと帽子は鉢巻代わりのもので仲間意識の醸成のためだと思います。
イギリスでも本当に必要な場合はヘルメットをかぶるわけですからね。
116. ラジオ体操
イギリスの会社ではラジオ体操はやりません。 そもそもラジオ体操などというものはない。 イギリスの日系企業でやっているところはあるかもしれませんが、私の場合はなかった。 それで十分会社は機能しました。
あれはどういう意味を持つものでしょうか。 日本に帰ってみると何のためにするのか目的がわからなくなりました。
昔、さあ今日も頑張ろうという意味で始業時にどこかの会社が行なったのが広まったものと思いますが、今はその意味も薄れてしまっており、だらだらとやるのであればいっそのことやめた方がいいと思います。
117. 二人称
英語で二人称はyouです。 日本語では何と言うのでしょうか。 君、あなた、あんた、おまえ、おめえ等いろいろありますが、いずれもyouとは違って微妙な付加的意味を持っていて会社では気を使いますね。 従って名前や、肩書き、これは三人称と思うが、これをyouとして用いたりさえする。 いやこれはyouとしてではなく呼びかけですか。
要するに日本語にはyouに相当する汎用的二人称はないのですね。 英語ではすべてyouで片付くから非常に楽ですね。 ドイツ語ではSieとduがあって少しややこしくなる。
118. 時間の言い方
9時35分は英語ではどういうと思いますか。 彼らは「twenty-five minutes to ten」といいます。 10分前ぐらいだといいが25分前ともなると日本人には分かりづらい。でもイギリスでは普通の言い方です。 9時20分は「twenty minutes past nine」といいます。 昔学校で習った通りです。 「nine thirty-five」のようないい方をイギリス人は普通はしません。 この方が日本人には分かりやすいのですけれどもね。
119. 階の数え方
これは誰もが知っての通りで、日本語の1階は「ground floor」といい、2階は「first floor」となります。 欧州はどこでもそうなります。 ドイツでは1階をErdeといいます。 英語に直訳するとearthになるわけでおもしろい。
ホテルで戸惑うのではとの心配は杞憂です。 部屋が3階であればエレベータ(英語ではLift)の3のボタンを押せば良いだけです。 実は4階になるのですけどね。 換算しようとするからややこしくなる。
アメリカでは何故かアジア的ですね。
120. 複数形
水の複数形watersは変だと英語に強い人は思います。 しかしマーケットに行くと飲料水売場の天井にはwatersと看板がぶら下がっています。 いろいろな銘柄のミネラルウォーターがあることを示しているのですね。
121. 牧場
イギリスでは郊外に出るとすぐに牧場が見え始めます。 緩やかな丘が続き、そこに点々と羊や牛がゆっくりと草を食んでいる。 まことにのどかな風景です。 夕方薄暗くなってもなお牧場にいる。 夜はどうしているのかと思ったが調べずじまいとなりました。
あの牛や羊が口蹄疫で処分されたことを思うと悲しくなります。
122. 床屋
イギリスの床屋は髪を切って整えておしまいです。 ものの10分か20分で終了です。 これで5ポンドとちょっと。 約800円です。 その代わり家に帰って髪をすぐ洗うことになります。
パーマ屋さんでもgentsと書いてあれば床屋をやってくれます。
日本の床屋は遥かに良いのですが3000円以上もして非常に高い。 しかし日本でもデフレの影響からか最近1000円床屋が出てきましたね。
123. Dの書き方
黒板の字に日本人の特徴がよく出ます。 ABCの書き癖には随分差があります。
特にDをÐと書く人が非常に多いのはおもしろいことです。 昔、筆記でのプログラムコーディング記載時にÐと書くことと教わりました。 Oとの区別を明確にするためです。 でも今はパソコンに直接キーインするわけで、紙に書く必要はない。 若い人はもう教えられていないと思います。 それでも何故か年寄りの癖を真似してか横棒を付けて書くのですね。
イギリス人を始め欧州人はDを特徴ある字で書くためか、そのように書く人はいません。 従って日本人のÐを珍しく見るのです。 中にはAとさえ見えそうなÐを書く人もいてこれは考え物ですね。
同様にDirect InjectionのÐiやElectronic Fuel InjectionのEFiはDI、EFIでしょう。
124. サイン
欧州はサインの文化圏です。 日本の印鑑と同じように銀行にサインを登録します。
サインは記号ですから、どんな字でも良く、しかし人に真似されないように特徴を付け、常に同じように書けるようにしなければなりません。
私は滞在当初自分の苗字の漢字崩しとしました。 でも後で向こうの文字に変更しました。
理由は二つです。
イギリス人はアルファベットに近いほうが判別能力があること、漢字の崩しを東洋人に模倣されるとだまされ易いと聞いたのです。
もう一つは日本国内です。 Credit Cardを日本で使った時、苗字だけのサインをしたのですが、なんとフルネームでサインしてくれというのです。 決まりだという。 これではサインが変わってしまう。 外人はどうするのだと聞いても埒があかない。 面倒なので言われるようにしたのです。 日本ではこんな認識です。
後にアルファベットに変えたといいましたが、それ以降は問題なしです。
以上からサインは日本でも同様にアルファベットの崩しで行なうのがよく、自分のサインを練習して決めておいたらいいですね。
日本でサインというとフルネームの楷書体肉筆と考える人が大部分です。 これは向こうではサインではなくてprint体になるのではと思います。 向こうのサインは他の人が真似出来ないような崩し文字で、大抵は一筆書きです。 昔、日本でも花押がありましたがあれです。 以上のように日本のサイン文化はまだまだ未熟です。
125. tannoyとhoover
イギリスでは電気掃除機で掃除することをhooverと言い、構内放送を行なうことをtannoyと言います。 動詞として使います。
hooverは掃除機など電気製品の会社、tannoyはスピーカーなど音響機器会社の名前です。 おもしろい。
126. Good night
イギリスの会社内では挨拶が欠かせません。 朝のGood morningは当たり前です。 この時Goodは言わないか言ってもかすかにです。 従ってMorningと言っていました。
退社時には何というか分かりますか。 Good nightというのです。 夏の退社時のまだまだ明るい時にでもです。
いつまで経ってもしっくり来ない表現でした。
127. 日本語の中の英語。
日本語のカタカナ語と英語で違うのが多い。
少し列挙してみます。
ガソリン: petrol
ガソリンスタンド: petrol station
エレベータ: lift
テークアウト: takeaway
アパート/マンション: flat
ポテトチップ: crisps
フライドポテト: potato chips
カード: credit card (単にcardでは不完全)
車のトランク: boot
クラクション: horn
チェック(レ点): tick
ロータリー: roundabout
スーパーなどのカート: trolley
モールmall: shopping centre
ダウンタウン: town centre, city centre
襟のカラー: collar (コラーになるので注意)
カレッジ: college (コレッジです)
ポンド: pound (パウンドです)
オンス: ounce (アウンスです)
電気ポット: electric kettle
アンテナ: aerial
衛星のパラボラアンテナ: dish
フィギュアー: figure (フィガーという)
車のジャガー: Jaguar (ジャギュアーという)
パンフレット: brochure (ブローシャという)
アンケート: questionnaire (アンケートはフランス語)
ストライキ: industrial action
リハーサル: dry run
サッカー: football
サッカーのロスタイム: injury time (ロスタイムでは意味がとれない)
コーヒー: coffee (鋭くコッフィーとなります)
このように列挙し出すといくらでも出てきます。 日本は戦後アメリカの影響下に入り、昭和30年代後半から英語教育にも米語が反映されはじめた結果、その影響が強く出ているようです。
コーヒーをコーフィーならまだしも、わざわざカフィーという日本人が会社にいました。 イギリス人はカフィーではcaféのことになるといい、それに対してカリフォルニアではこう言うのだと返すと、今度はあそこの言葉はEnglishではないと反撃を食っておりました。
米語はイギリスではあまり歓迎されているようには思われません。 それでも新語や言いまわしがどんどん入ってくるのがジレンマのようです。
向こうでは日本語に入っている英語が鬼門になるので一部を紹介しました。
128. collarとcolour
日本からの出張者と英国の現地人顧客との打合せ時のことです。 その英国人はScotland出身です。 プラスチック製品の取り付け穴部に金属カラーをインサートする説明を日本からの出張者がするのですが、話が噛み合いません。 何度も同じところで空回りです。 原因はカラーをcolourと英国人は解釈したためでした。 colourの「o」はもう少し、中間的な音でア音とはやや異なるのですが、日本人がカラーと言えばやはりcolourなのですね。 collarであればコラーといわねばなりません。 前節にあるようにカラーはアメリカの影響です。
129. 英語
イギリスの歴史と英語の間には深い関係があります。 知る人ぞ知るということですが少し復習してみましょう。
英語の故地はドイツ北方のデンマークのあるユトランド半島の付け根付近と言われています。 そこらにはゲルマンの支族であるAngles、SaxonsそれにJutesが住んでいました。
ゲルマン語派の言葉はインド・ヨーロッパ語族に属しており、イタリア語などが属するロマンス語派、ロシア語などのスラブ語派、ギリシャ語、イランのペルシャ語、インドのヒンディー語などとは同系統の言葉です。 大昔に分岐したのでお互いに随分と異なっていますが、遠縁であることが証明されています。
彼らアングロサクソンがイギリスへ侵攻し定住したのはAD400頃からといわれています。 侵攻は英語の「raid」がそれです。 その頃ローマがイギリスに駐屯していたのですが、国力の衰えと共に徐々に引き揚げ、アングロサクソンに取って代りました。 ローマに支配されていた先住民はケルト人ですが、アングロサクソンによって今のWalesやScotlandの方に押しやられました。 この名残は今現在もほぼそのまま残っているのです。 もっともそのケルト人も更に昔、大陸から渡ってきたと考えられており、このような侵攻は繰り返されているのです。 その時の原住民はPict人やScot人といわれています。 彼らはケルト人移住の先鋒だったとの説もあります。
その頃のアングロサクソンの言葉は低地ドイツ語といってドイツ北部方言やオランダ語に近いものでした。 なお高地ドイツ語すなわち今のドイツ語は低地ドイツ後から変化していて発音がかなり違っています。例えばdayとTagの違いの「d→T」やtenとZehnの違いの「t→Z」です。 これは高地ドイツ語が変化したのです。
その後、9世紀にはVikingが大挙して侵攻してきました。 彼らはNorway人やDenmark人です。 この結果、Londonから北は彼らに占領されてしまいました。 いわゆるDanelawといわれる地域で、デーン人すなわちDenmark人に支配されたところということです。 彼らは結局はアングロサクソンに同化されるのですが、多くの北欧語の語彙を残しました。 sky、take、castなど数多くあります。また混血も進んだのです。 Vikingが残した典型的な苗字にJohnsonがあります。 「-son」が証拠なのです。 現在の北欧のJohansenという苗字はこれに相当するのかと思います。 Viking由来の地名も多く、例えばRugbyやDerbyがそうで、その証拠は町を意味する「-by」です。
更に1066年へスティングスの戦いに敗れ、ノルマン人に征服されることになりました。 ノルマンコンケストと呼ばれていて昔歴史で習いました。 その結果イギリスの国王はフランスからとなったのです。 もっともこのノルマン人はもともとはノルマンディー地方に定住したVikingなのです。 Normanの名前が示す如く北方人です。 しかし言葉は同化してフランス語でした。
支配階級の言葉はフランス語のため、この時以来フランス語の語彙が大量に入り、文法が乱れ格変化が適当になりました。 そして16から17世紀のシェークスピアの時代に入って今の英語に近い形になったのです。
そのようにして英語の語彙はフランス語やそのもとであるラテン語が非常に多く、ちょうど日本語の中の漢語のような役割になっているのです。 特に近代になって文明語がラテン語から積極的に造語されたため驚くほどラテン語からの語彙が多いのです。
それでもなお基本語彙はゲルマン語であり、go-gehen、eat-essen、have-haben、eye-Auge、foot-Fuss、sun-Sonne、water-Wasser、day-Tag、beer-Bier、shoemaker-Schumacher(靴屋)などドイツ語には似た語が数多くあることは知っての通りです。
その後イギリスは国力の強大化と共に世界の覇権を握って行きました。 それと共に英語が世界へ拡大して行きました。 インドなどの旧世界は植民地として力で支配したのですが、オーストラリア、ニュージーランドや新世界のアメリカへは同時に移民も行ないました。
特に今のアメリカ、カナダへは大挙して移民し同時に英語も拡大しました。 イギリスからだけではなくジャガイモ飢饉から逃れるためにアイルランドからも大挙して移民しました。 アイルランドは古く英語化されていて人々は英語の方言を話すのでやはり英語が拡大していったのです。 ちなみに1836年のアラモの戦いで有名なデービー・クロケットはアイルランド系です。 新大陸の英語はこのように移民時代の17世紀頃の古い英語が基底にあることや、アイルランド人などの方言が入っていること、ドイツ人、フランス人などの非英語移民の影響などの特徴を引きずって現在の米語へとつながっています。
同様にカナダのケベックで話されているフランス語はフランス本国の標準フランス語とは違っているといわれています。
現在の米語はイギリス本国の英語に対し大きな方言勢力を形成しています。 言語的には米語は英語の一方言に過ぎないのですが、米国は現在は世界の最強国であり、Internet時代の今、情報の発信基地として非常に影響力が大きくなっています。 特に語彙の影響が大きい。 第2次大戦後、直接支配された日本はじめその周辺国に及ぼす影響は非常に大きく、そこでは米語を学ぶ風潮が強くなっている。
このように英語は複雑な歴史の影響で初期の面影が消えてしまい、同じゲルマン系のオランダ語やドイツ語とは随分違う構造と語彙構成になっています。 複雑な格変化の簡素化とラテン語やギリシャ語を文明語として取り入れ、世界語として地位を確実なものとしています。
ここで一言、日本人がアメリカ以外で、例えばイギリスやフランスでアメリカなまりを使うのは好ましいとは思われません。 waterをワラー、matterをマラー、betterをベラー、三菱motorsをミツビシ・モーラーズ、newをヌー、twentyをトウェニー、workをワrrrrrクなどと言ったらきっとこの日本人は何だと思われる。 米語はなお地域語である、すなわちアメリカ本国での言葉であるとの認識が特に欧州ではあるので、日本人が使うと属国的なイメージが出てきてしまう。 いまはやりの言葉「ぽち」のイメージになってしまいます。 日本にいるとこの感覚はわかりません。 言葉と政治は密接に関係しているということです。 なお日本国内やアメリカで使うのは問題ないでしょう。 アメリカでは喜ばれるかもしれない。 でもやはりこれは「ぽち」ですね。
現在の日本の国内事情では簡単に昔には戻れないけれども、いわゆる英語は現在では中立的であり好ましいと思います。
130. 日本人特有の訛り
皆が訛りで苦労するのは「R」と「L」で、中学生になってから英語を習った我々にとってその聞き分けは、至難の技であるのは誰でも身にしみています。 この他、日本人特有の訛りで、イギリス人が気にするのは、Smith、who、whenなどです。 これを訛ってSumith、fu、hoenかfenと言うわけで耳障りのようです。 Sumithではおまけに本来ないはずの「u」に強勢を置くから始末が悪い。 おもしろい例は「flight」です。 「fright schedule」と日本人は言うので初めの頃はびっくりしたと現地会社のイギリス人が言っていました。 ちなみに「fright」は「びっくり、恐怖」の意味です。
131. 日本語と英語の意味の差
一つを例に取ります。 「問題」という語です。 英語に訳すと「problem」であると思うのが大間違いです。 日本語の「問題」は意味の範囲が広い単語です。
problem、concern、issue、theme、subject、item、questionなど場合により使い分ける必要があります。
「problem」は「解決すべき非常に頭の痛いこと」を意味するので良く考えてこの語を使わないとイギリス人はびっくりしてしまいます。 このproblemの軽度のものがconcern(心配)になります。 それ以外の意味では別の語になります。
次は別な例です。 私だけなのかも知れないが「people」とは「人々」であると習い、大勢の人を指すものと思っていました。 しかし違うのですね。 会議の出席者は4人と言うときは、four personsとの表現は耳にしたことはなくfour peopleといいます。 2人以上がpeopleなのですね。 次のニュース記事が証明しています。
Two die in plane crash:
Two people die as a light aircraft crashes and bursts into flames shortly after taking off from Southampton airport.
このような例は他にもあるので重要語についての意味のズレは把握しておきましょう。
もう一つ、Pizza Hutというアメリカ系の店がありますが、そのHutを帽子と勘違いしている人がほとんどと思います。 小屋という意味です。 ドイツ語のHütte(ヒュッテ)という語が山言葉で使われますがこれと語源が同じです。
さらに誤解を呼ぶのは日本のYellow Hatという自動車用品店です。 ますますこんがらかってしまいます。
132. 英語の綴り
日本の教育では現在は米語中心であり、マスコミも米語中心で、綴りは米国式です。 しかし英語綴りのcentre、theatre、labour、travellingなどは一応分かってはいるますね。 この外であまり日本で知られていないのはMrやDrはMr.やDr.とはならないことです。 すなわち点がありません。 これはThe Timesなどの英字新聞を見れば分かるし、そのホームページを見ても分かります。 また最近一般化されたのが、civilisation、atomisation、utilise、organiseなどでは「z」ではなく「s」が使われていることです。 しかし面白いことにOxford辞典は「z」派です。 けれどもマスコミや社内外文書など目に触れるところはすべて「s」が使われています。 これは日本ではあまり気付かれていないと思います。 英国駐在中に取引契約書を日本のある会社と交わす際に、その日本の会社から綴りが違っていると原稿を作成した英語の本家に言ってきました。 『a division of a corporation organised and existing under the laws of the United Kingdom』の『organised』が誤りだと言ってきたのです。 このように日本では知られていないようです。 実は私も駐在するまで知りませんでした。
133. 海外旅行
イギリス人は驚くほど気楽に海外旅行をします。 ヨーロッパ大陸は当然として、世界に安易に出かけます。 彼らの好きなところは私の知るところでは、カナリア諸島、ネパール、アメリカのディズニーワールド等のようで、若者は東南アジアやキューバを含めてどこでもです。
イギリス人は自分たちの言葉の英語がどこでも通じるので躊躇しないでどこでも行く。 本当に羨ましく思いました。 一般の日本人は絶対に真似のできないことです。
134. イギリス人の外国語
イギリス人で外国語をまともに話す人は非常に少ないのではと感じます。 私の知っているフランス語を学生時代に習ったという人でもほとんど話せない。 彼らにとっては必要性が薄いのです。
昔イギリスは7つの海を制覇して英語をそのままそこで使ってきた。 今はアメリカがその役を引き継いでいる。
世界どこを旅しても英語で通せばよく外国語を習う必要性が薄いのです。 休暇を取るたびにアジアや中米などの地域を旅行するイギリス人を知っているが、彼はどこでも英語でとおしたが問題なしと言っていた。 インターネットの世界でも英語が主流になっている。 羨ましい限りです。
彼らの中には日本語に興味を示して習ったりしている人がいますが、実用性を求めているのではなくて趣味の領域ですね。
135. おかしな英語
標準英語では「smart、car」などの母音の後の「r」は発音されません。 しかし「there is」など語が続く場合は語尾の「r」は発音されます。 この「r」を「linking r」あるいは「intrusive r」というのですが、無頓着な英国人のパイロットは「Narita-r-airport」と機内放送で言っていました。 違和感を覚えます。
この「r」はフランス語のリエゾンと同じようなもので、語が続くと消えた音が出てくるのですが、出鱈目に入れるとこうなるのです。 かなり多くの英国人はいい加減なようです。 アメリカ人の多くは「r」をもともと発音するのでこのようなことはありません。
なお英国でも多くの方言で「r」を発音しており、この人たちはアメリカ人と同じだと思います。 私の住んでいたBoltonのすぐ北の地域は「r」を発音します。 またEngland南西部、Scotland、Irelandも「r」を発音します。
田舎に昔の発音が残っているのです。
日本でもそうで、例えば「を」の標準音は「o」ですが、「wo」と発音する人が地方出身者に結構います。
136. サッカー狂
イギリス人は本当にサッカーが好きです。 シーズンになると会社が終わると派手な格好に着替えて、これからLiverpoolまで行くんだといって勇んで出かけます。 hooliganでもやりに行くのではと思ったりします。
最上位のリーグにPremier Leagueがあって20チームがある。
Manchester Unitedもここです。 その下にはDivision 1、2、3というリーグがあり、最下位にConferenceリーグとなります。 このように非常に多くのチームがあって、各町は自分のStadiumを持っています。
私のいたBoltonは現在はDivision 1に落ちたBolton Wanderersという名のチームを持っています。 3年前はPremier Leagueにいました。 西沢が入団し来期は再びPremier Leagueと聞きました。
BoltonのReebok Stadiumは2万8千人収容の結構大きなものです。 しかしイギリスでは小さい方だと聞きました。
土曜日などに試合のある日は、Reebok Stadium周辺は大渋滞となってしまいます。 また駐車場がいっぱいなものだからどこか遠くに大勢の人が車を止めて歩いて来ます。 間違いなくStadiumは満員ですね。
137. 休日
イギリスの公の休日はbank holidayといいます。 きっと過去に銀行が休みの先導役をしたのでしょう。 このbank holidayは8日程度とイギリスでは多くはありません。 それに引換え日本の場合は子供の日などなんと多いことか。 イギリス人は羨ましがります。
しかし彼らは有給休暇を当然の権利として100%しっかりと行使します。 日本の会社で同じようにすると世界一休みの多い国になるでしょうね。
138. 地方の博物館
ロンドンの大英博物館(British Museum)が有名ですが、地方にも各所に特徴のある博物館が存在します。
例えばManchesterにはThe Museum of Scienceがあって、産業革命時の織機、巨大な蒸気機関それに飛行機、蒸気機関車、自動車、などが所狭しと広いスペースに展示されています。 重厚長大が実感され、往時のイギリスの繁栄が偲ばれます。
ただ旧日本軍のロケット式特攻機桜花がsuicide plane(自殺飛行機)として展示されていたのはショックでありました。
ロンドンの北方にある昔バイキングの拠点の一つであった古都Yorkには鉄道博物館があり、各種機関車や客車の展示は圧巻です。 先日日本の新幹線車輌が運び込まれたと話題になりました。
このように多種多様な博物館が各地にあり、古い貴重な品々が管理され保存されています。
139. 昔の建造物など
古いイギリスの建造物は石造りです。 修理、復元されている建造物も多く、English HeritageやNational Trustなどの公益団体が管理しているところがあちこちにあります。 特に古い城が方々にあり興味が尽きません。 中には拷問部屋の残っている城もあり、ぞっとするような責め具が展示してありました。
また広大な敷地と庭園を持つ昔の領主の館もすばらしい。 館は地方領主の宮殿であり、壁画や天井画、家具調度品、多くのコレクションや財産で満たされていてなかなかすばらしいものです。 日本の質素を旨とする考え方とは180度違う文化のものでよく集めたものだと思ったりもします。 管理費となる入場料は必要になります。 これの典型的なものにChatsworth Houseがあり、岩倉具視が訪問し、痛く感激したと聞きました。 その時代はロンドンから鉄道と馬車で行ったのでしょうね。
140. ローマの遺跡
キリスト誕生の頃からアングロサクソンが英国本土に渡るまでの400年間はローマがイギリスを占領し統治していました。 当時そこにはガリア人が住んでいました。 ガリア人はケルト人の名でも知られています。
そのガリア人は今のフランスやスイス、イギリスに広く住んでいたそうで、その末裔は今ウェールズ人やスコットランドのゲール人そしてフランス人になっています。
カエサル著のガリア戦記にその当時BC100〜BC50年頃のガリア討伐の模様が書かれています。 当時イギリスはブリタンニアと呼ばれ、そこへの侵攻の模様も書かれています。
イギリス国内の方々にローマの遺跡が存在します。 スコットランドの中ほどにはアントニウスの壁があり、イングランドの北方には東岸から西岸に達するハドリアヌスの壁(Hadrian’s Wall)があります。 また方々にRoman Roadと称される古い道があり、拠点の町には遺跡があります。 あの時代にローマはよくここまで来たものだと感心させられます。
知っての通り-caster、-chester、-cesterなどの付く町はローマの出城のあったところです。 そうでなくとも遺跡は方々にあり、例えばYorkの寺院Minsterの地下にはローマの遺跡が眠っていて見学することができます。 本当にすごいと思います。
私の住んでいたBoltonにもRoman Roadといわれる道があります。 まっすぐに伸びているのが特徴と聞きました。 地図を見ると確かにまっすぐであり、そこへ行ってみると丘を越えて道が遥かに伸びていました。 このようにロンドンを起点に各拠点へと軍用道路が伸びていたようです。
ローマの場合は攻めるための道ですが、日本の場合は守るためのようですね。 大井川に橋を架けなかったのはそのような消極的な理由でしょう。 もしローマだったら直ちに反乱の鎮圧に向かえるように立派な橋を架けたことでしょうね。
141. Bath
バースという町は観光地として有名で日本人も大勢訪れます。 名前の通りの町で、ここにはローマ人が作った石造りの大規模なローマ風呂があって、修復され復元されています。 水風呂まで各種の浴槽があって非常に大規模なものです。 これでも本拠地ローマにあるカラカラ浴場などと比較するとバースの規模は遥かに小さいものです。
ローマ人は辺境のこの地でも、故郷の習慣を守っていたのです。 イングランド南部にあるこの古い町バースは観光地、リゾート地として随分と栄えています。
ローマ風呂の遺跡はここだけではなく各地のローマの駐屯地に作られたようです。 北方のハドリアヌスの壁にある駐屯地の遺跡にも小さなローマ風呂がありました。
142. ストーンヘンジ
日本でも有名なストーンヘンジは5000年前の建造物といわれています。 その頃ケルト人はまだイギリスの島には到達していなかったそうでケルト以前にはピクト人やスコット人と呼ばれる人々がいたと考えられています。 これは彼らが造ったのかも知れません。
これには非常に大きな石が使われています。 ここまでは驚かないにしても、これらの石は遥か数十マイル離れた地域から運んだ特別な石だそうで、これは驚きです。 古代人は我々には理解できないことをやるようです。
ここには世界各国から観光客が訪れます。 日本人にも人気のところです。 音声での解説に電話の受話器のような装置を貸してくれます。 各国語用が揃っている中で日本語があるのはさすがです。 他のアジア人観光客は残念そうでした。
143. 運河
あまり紹介されていないようですが、イギリスには運河が張り巡らされています。 これは鉄道以前に輸送手段として建設され、ロンドンからリバプールまで運河を使って行くことができます。
鉄道の開通に伴って運河での輸送はさびれたのですが、今は観光に生き残っているようです。 狭い運河を通るために幅の狭い細長い船が使われています。 運河は橋で川をも越えて延々と伸びており、独特の美しい景観を与えます。
144. Tattoo
イギリスでは特に労働者階級が刺青を行ないます。 日本の場合のような裏街道を行く者がという理由ではなく、労働者階級であるよという印で入れると聞きました。 イギリスでは滅多なことでブルカラーがホワイトカラーになることはなく、自分から属している階級を決めてしまっているわけです。
このようにしてブルーカラーの多くの人の腕に刺青を見かけます。 聞くところによればショーン・コネリーもそのような理由からしているそうで、映画の中では化粧かなんかで隠しているらしいです。
女性もtattooをしています。 背中のベルトの少し上あたりのtattooでは、前にかがんだ時見えたりしておやと思うことがありました。
145. 両替
向こうに住むと時々両替をすることになります。 日本に一時帰国の時などは円安だと非常にありがたい。 3年前は1ポンド200円を越えていて、ポンドが非常に強く思ったものです。 今は170円から180円の間です。 一時は150円台になってため息をついたものでした。
両替はexchangeと英語で言うわけで、ポンド札を円札に交換してもらうわけです。 もう一つ売る買うとも言いますが、ポンド札で円札を買う行為でもあります。
両替はクレジットカードでも行なえます。 この時は買うという言葉どおりで、窓口で日本円を10万円買いたいと英語で言うわけです。 これはまさに両替というよりも買うという実感です。
146. 携帯電話事情
イギリスだけでなく欧州はGSMという規格の携帯電話になっています。 この規格は欧州域内だけでなく、オーストラリアなど世界の多くの国でそのまま使えます。 国をまたいで使え非常に便利です。
日本とアメリカは独自システムなのでだめです。
i-modeはありませんが、ノートパソコンとつないでmailのやり取りをするのは普及しており、私も出張先で使っていました。
英国ではシャープに替わってサッカーチームManchester UnitedのスポンサーになったVodafoneが大手として有名です。 最近J-phoneがVodafoneの傘下に入ったのは記憶に新しいところです。
なお英語では携帯電話をmobile phone (モーバイルフォーン)といいます。 しかし略してモーバイルと言っていました。 これは日本で携帯というのと同じですね。
次はinternetからの引用です。
Cell phone: USA
Mobile (phone): UK
Here I think the Brits have it right. Cell is short for cellular. To techno-semi-literates (like me), that doesn't explain much. The phone is composed of living cells? Most people aren't quite sure what, exactly, cellular means. Whatever it means, the phones are extremely Mobile. The very essence of this device is that it is portable, or mobile.
The brits win this one hands down.
注) : Throughout, I'm going to refer to Americans as Yanks (with apologies to my southern countrymen) and to citizens of Great Britain as Brits.
147. 電話事情
イギリスには日本のNTTと同じようなBTという会社があります。 これとは別に格安電話会社が台頭しています。 特に国際電話は安く、例えばSwiftcallという会社は日本まで1分BTでは26ペンスのところが1/3の9ペンスです。 1時間日本と話しても1000円弱と非常に安い。 日本国内での長距離電話より安いのではと思います。 ダイヤルが少々面倒になるがパスワードを使ってどの電話機からでもかけることができます。 なおこのSwiftcallは日本のKDDの子会社になりました。 調べてみると日本にも格安電話がありますね。 BBの海外向けIP電話もそうですが例えばFusion Communications という会社の電話は大分安い。 しかし英国の相場より高いようです。
148. 本屋
日本では文庫本、向こうではpaperbackが売られています。 雑誌も多いが好色系の雑誌は手の届くところには置いていないようです。 ガーデニング関係や各種の写真や絵の入ったきちんと装丁された本が数多く並んでいます。 本の値段は日本と比べて安く感じる。 辞書なども安い。 もう一つ違うのは本屋によっては定価を割った格安の本が沢山置いてある。 日本では定価販売ですが法律が違うようです。
149. 文房具屋
日本と違うのは本屋に文房具が置いてあることと、大規模文具店があることです。 Staplesという店がチェーンになっていて各所にあります。
日本と違うのは、Post-itで日本でも知られている付箋紙を大量に使うこと。 A4の1〜2枚の薄い書類をファイルする時ファイル穴付きA4サイズの透明な袋に入れることが多いこと。 封筒が大量に売られていること。 2穴の他、8cm間隔の4穴のファイルが多いことです。
このような店では女学生が趣味でかわいいものを選ぶということはなく、機能性、実用性で選んでいると思います。
またBlu-tackという粘土が売られていて、画鋲代わりに壁に紙を貼り付けることができます。日本国内ではお目にかからないようです。